文 酒井駒子
絵 同上
発行 偕成社
初版 1999/10/
対象年齢 3歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B
概要
男の子がベッドの上で、お母さんに昨晩の出来事を話します。
よるくまというクマの子がやってきたこと。いなくなったお母さんクマを探して、一緒に夜の街に行ったこと。けれど見つからなくて、よるくまが涙を流し始めて…
静かで美しい夜の世界を舞台に展開する、ちょっと寂しくちょっと心あたたまるファンタジーです。
感想
他の酒井駒子さんの作品に比べると、絵もストーリーも親しみやすい方向に半歩踏み込んだ印象です。酒井駒子さんというと油絵を思い浮かべる方が多いと思いますが、本作ではペンと水彩のように見えますね。
お母さんクマは実は働きに出ていたのです。別に紹介している酒井駒子さんの作品「ぼく おかあさんのこと…」でも、お母さんが働く女性でしたね。働くお母さんへの応援の意味も込められているのでしょうか。
よるくまが夜空の中でお母さんクマを見つけるシーンとお母さんクマがよるくまを抱っこして家路につくシーンの絵がとてもキレイで印象的でした。特に家路につくところはお母さんクマのセリフがあったかくてよかったなあ。これは名シーンだと思います。この本はもしかしたら寝る前の読み聞かせに使われることもあるかと思います(お話はベッドで子どもが寝る前のシーンで始まって、子どもが寝ているシーンで終わるんですよ。)が、こどもはここでお母さんに抱っこされてるような安心した気持ちになってよく寝られることでしょう。
夜のお話なので、黒と青が基調になっていて、全体的に絵は暗めの印象です。それが私にはとても美しく感じますが、子どもによって印象は異なるかも知れません。色調が暗めであること以外は、キャラクターはとっても可愛いし、よっぽど怖がりの子どもでなければ大丈夫だと思いますが。
よるくまの仕草や表情がとてもかわいく描かれています。セリフとか表情、行動とかからするとまだまだだいぶ小さい子なんでしょう。男の子はお兄さんのように接しています。
中盤から終盤にかけての場面の切り替わり(よるくまがお母さんクマを見つける際の展開)が特徴的です。あまり論理的ではないので、これは賛否両論あるかも。私はドラマティックでこれもいいと思いました。子どもも特に違和感なく受け入れたようです。
文章が口語です。読み聞かせるにはちょっとリズムが悪い面があります。映像+ナレーションならば、口語によっていい雰囲気が出るのでしょうが、素人が読み聞かせるにはちょっと…という気はします。私が頭硬いのかも知れませんが…。
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