文 酒井駒子
絵 同上
発行 文溪堂
初版 2000/5/
対象年齢 3歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

 

概要
ぼく(ウサギ)はお母さんのことが「キライ」。だって、だって…

なぜ「キライ」なのか、色々と理由を並べていきます。でもどうやら根っこの理由は一つみたい。

男の子がお母さんに持つ、純粋な気持ちを描いています。

 

感想
ほとんどが男の子の独白という構成で、シンプルで地味なお話です。でも行間から想像される奥行きがあります。

主人公は一人っ子のようですね。不器用で一見無表情な感じですが、ちらりちらりと一途な感情が見え隠れします。

説明はありませんが、お母さんと男の子の二人暮らしのように思えます。お母さんは忙しくて手が回らないのか、お洗濯ができてなかったり、お休みの朝はなかなか起きなかったり、男の子がかわいそうな場面もあります。

母子家庭らしきところが、このお話を「男の子って純粋でかわいいね」っていうだけでなく、より繊細で微妙なものにしているように思います。(子どもにはわからないでしょうけどね。)

この本はママさんが読んでもいいと思いますよ。男の子を持つママさんには感情移入しやすいかも知れませんね。ちょっぴり耳が痛いかも…なエピソードや、自分の普段の行動を振り返るキッカケになりそうなエピソードもあります。

同じ酒井駒子さんの作品「はんなちゃんがめをさましたら」もそうでしたけど、文章のない絵だけのページがいくつかあります。そのページこそが実はとてもいいんですよ。

他にも酒井駒子さんの作品をご紹介しています。タグからどうぞ。