文 竹下文子
絵 鈴木まもる
発行 金の星社
初版 2003/10/
対象年齢 3歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 A

せんろはつづく のあらすじ・内容


子ども達が野原で線路を作り始めます。どんどん伸ばします。

山があった どうする?
穴を掘ろう トンネルだ

川があった どうする?
橋をかけよう 鉄橋だ

道があった どうする?
遮断器をつけよう 踏切だ

この調子でどんどん伸ばしていきます。そしてとうとう最初に線路を作り始めた場所に戻ってきてすべてがつながります。最後はみんなで汽車に乗って走ります。

せんろはつづく の解説・感想


子ども(こびとかな?)達が機械や工具を使って本当の線路を作っていますから、設定自体は荒唐無稽かも知れませんが、これは夢がありますよね。最後は作った線路の上を、汽車を運転して走っちゃんですよ。玩具のプラレールとかありますけどそういうのが好きな子、そしてもちろん電車が好きな子は大喜びしそうです。そしてまた普段何気なく乗っている電車の線路もこうして作った人がいたんだという発見をしてくれたらまた面白いと思います。

「山があった。さあどうする?」とい問いかけの場面でページをめくると「トンネルを掘ろう」とトンネル工事をしている場面に変わります。そして次には、また他の難所があって「どうする?」となり、場面展開がとてもテンポが良くて気持ちがいいです。この種の問いかけはいくつも出てきます。子どもと一緒に考えてから、ページをめくるのもいいでしょう。

難所があってもそれを乗り越える解決策を自分たちで楽しく導きだす前向きさと、それを即行動に移すバイタリティは見ていて清々しい位です。子どもにいい影響があればいいなと思います。

文章のリズムの良さも、この絵本を楽しいものにしていると思います。対象年齢は3歳からとしましたが、文はほんの短いし覚えやすいものなので、子どもによっては2歳位でも十分楽しめると思います。

絵は油彩かな。とても親しみやすい、かわいい絵です。細かく書き込まれていて、6人いる子ども達がそれぞれ手分けをして何をしているか書き分けられています。さらに端々まで絵をよく見てみると、好奇心から動物たちも線路工事についてきています。その様子を見るのもまた楽しいです。さらに最初にベビーカーで赤ちゃんを連れたお母さんが何気なく描かれていますが、最後の方にまた出てきて物語に加わります。芸が細かいです。

表紙をめくったところ、見返しって言うのかな?そこにはこの絵本の中で作られた線路の地図が描かれています。ここで全体像を確認することができます。そして地図と現実との関係を知ることができます。

この絵本には子どもにいい影響を与えそうな要素が沢山盛り込まれているのですが、でもそういう教育的な意義以前に絵本は子どもにとって面白くなくちゃいけません。この絵本はその面白さも兼ね備えた最強クラスの絵本だと思います。

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つみきでとんとん