文 せなけいこ
絵 同上
発行 ポプラ社
初版 1976/11/
対象年齢 2歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 90万部(2010時点)ミリオンぶっく
オススメ度 A

おばけのてんぷら のあらすじ・内容


ねこちゃんからお弁当の天ぷらをわけてもらったうさこちゃんは、あまりに美味しかったものですから、ねこちゃんから料理の本を借りて自分で天ぷらを作ることにします。

楽しく天ぷらを作っていると、その匂いにおばけが誘われてきて…

うさこちゃんの天然ぶりが微笑ましい、楽しいお話です。

おばけのてんぷら の解説・感想


せなけいこさんのめがねうさぎシリーズの一冊になります。

ねないこだれだ』に出てくるオバケとおんなじオバケが登場します。でも心配いりません。『ねないこだれだ』はちょっと怖い面もありましたが、本作ではちっとも怖くないです。って言うか、イタズラ好きの男の子みたいなキャラクターでとてもかわいい。特にうさこちゃんの家に忍び込むために小さな小さな体に変身するところは、子どもが喜びそうだなって思います。

タイトルから想像できる通り、オバケが天ぷらにされそうに。子ども向けのお話として、とても面白いストーリーです。それ以外にも小さな楽しいエピソードが詰め込まれていて最後のオチも子どもが笑ってくれそう。

天ぷらの材料を揃えるところから、実際に作ってみるところまで描写されています。普段お母さんがやっている家事の一端を一歩踏み込んで知ることができます。真似しておままごとができます。食べ物や料理にも興味を持ってくれるかも知れません。

せなけいこさんの貼り絵はこの人ならではの絵ですね。暖かみがあって遊び心も感じられて…お話もそれと共通のイメージだし、ご自身がそんなお人柄なのかな。

うさこちゃんのキャラは最高!天然なんだけど、妙に行動力もあって、そこが楽しい事件を起こす大元になっています。当のうさこちゃんは事件があった事すら気付かないほどの天然なわけですが(笑)。主人公の周囲で事件が起きて進行していてその事に主人公自体は気付いていない、その事自体がまた楽しいというお話のスタイルは、もっと小さい子向けのシンプルな絵本とはちょっと違った複雑さを持った構成であり、こどもの知性を刺激してくれる面もあろうかと思います。

ミリオンぶっくの冊子には2歳からと書いてあったのでここでも対象年齢は同じくそうしました。でも私の感覚だとお話の内容は3歳レベルかなとも思います。2歳だとまだ早い子もいるかも。

この本が気に入ったら同じキャラクターが登場する『めがねうさぎ』もいいですよ。