文 いわむらかずお
絵 同上
発行 童心社
初版 1983/7/10
対象年齢 2歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 32
発行部数 118万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 A
14ひきのあさごはん のあらすじ・内容
14匹の野ねずみの一家のお話です。
早朝、一番早起きのおじいさんが家の前で一人焚き火をしているところから物語は始まります。
他のみんなも起き始めて、顔を洗い、みんなで朝食の準備をします。
お父さんは薪を割っておじいさんと焚き火できのこスープ作り。男の子を中心としたグループは野いちごを摘みに。おばあさんお母さんを始めとする女性陣はどんぐりの粉でパンを焼きます。
最後はみんなで朝食を囲みます。
14ひきのあさごはん の解説・感想
何と言っても緻密で美しい絵が魅力
このシリーズは絵が魅力です。緻密に書き込まれた絵は、見ていて飽きないです。図鑑になりそうな位の細かさで自然や生き物たちが美しく描かれています。森の清々しい朝の空気さえも感じられます。仲の良い家族のほのぼのした雰囲気も伝わってきます。朝ごはんもめっちゃ美味しそう。子どもって細かいところまで絵をよく見ていますから、隅々まで楽しめるかと思います。
なんだこの充実感は
みんなで準備して、みんなで食べる朝食はさぞ美味しいことでしょう。ただ朝ごはんを食べるだけの内容なのに、この充実感・豊かさなは何?って感じです。朝の一時だけでこれですから丸一日を考えたらどうなっちゃうんでしょう。毎日こんな風に暮らしていけたら、幸せだろうなぁ。何気ない普段の日常の中にこそ幸せがあるという事を実感させてくれますね。
小さなエピソードが隠れている
登場人物を一人ひとり追ってみると、ちょっとしたドラマが隠れていたりもします。それぞれのキャラクターも考えて作られているんですね。兄妹それぞれの年齢に応じた思考や行動の違いも描き分けられているんです。その辺がわかってくると、より楽しめますよ。大きい子は小さい子の面倒をよくみています。末っ子のまだ小さなとっくんはおねしょしちゃったけど、ちゃーんとお手伝いもしていますよ。どちらも活発なごうくんとなっちゃんは行動を共にしてる事が多いです。マイペースなろっくんはのいちごの枝のトゲが指に刺さっちゃってずっと気にしています。途中からベソかいちゃったくんちゃんの人形の行方を追ってみても面白いです。兄妹は顔がそっくりなので、体の大きさと服装で見分けます。表紙と裏表紙に全員が紹介されているので、それを活用するといいです。
ほんのわずかな文章
全編にわたって、見開き2ページに大きく緻密な絵が描かれていて、文章は一番下にほんの一行づつしかありません。絵を見ていくだけでもほとんどお話がわかります。文章が短いからと言ってそんなに急いでページをめくらないでくださいね。お子さんのペースに合わせて、是非じっくり絵を楽しみながらゆっくり見ていただきたいと思います。
絵さがしとしても
おや、まだ ねむそうなのは だれ?
時々こんな文章が出てきます。絵さがしの要素があるんですね。またカブトムシやクワガタやらいろんな虫類が出てくるページがあります。虫好きなお子さんには喜ばれるでしょう。描かれている虫を全部見つけてみるというのも楽しいでしょう。
見返しにまでお楽しみが
読み終わった後、見返しを見てみてください。表表紙の見返しには、木の中の家の断面図が描かれています。お話の中の絵が位置的にどの部分だったのか、これを見るとわかるようになっています。裏表紙の見返しには、家の付近を俯瞰した絵が描かれています。のいちご摘みはどこを通っていたのかこれを見るとわかります。顔を洗った水がどこから採られたものなのかわかります。これはシリーズ第一作である『14ひきのひっこし』で作られた水道なんです。現実の世界のように一貫性があるんですね。しかしこの絵を見ると、ほんの小さな箱庭のようなエリアの中でのお話だったという事がわかります。でもズームインした絵本の中の世界では広々しててねずみを始め鳥や虫達が精一杯イキイキと生活しています。なんだか秘密の世界を覗くようなそんな気持ちになりますね。
このいわむらかずおさんの14ひきシリーズは私の大のお気に入り。この他の作品もご紹介しています。『いわむらかずお』のタグからどうぞ。ちなみに私の一番のお気に入りは『14ひきのおつきみ』。とても美しい本なので機会があればご覧になってください。
ミリオンぶっくの冊子では、本書は2歳からとなっています。童心社のサイトでは3歳からとなっています。結局子どもによるでしょうね。早い子は2歳でも問題ないと思いますのでここでは2歳からとしました。
いわむらかずおさんの絵が気に入っていただけたら、こちらに行ってみてはいかがでしょうか。 → 『いわむらかずお絵本の丘美術館』
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