文 きむらゆういち
絵 あべ弘士
発行 講談社
初版 1994から2005(シリーズで)
対象年齢 5歳から
文字の量 やや多め
ページ数 40程度から多いもので60以上(シリーズで)
発行部数 不明
オススメ度 A

あらしのよるに のあらすじ・内容


ひどい嵐の夜に逃げ込んだ小屋で偶然出会ったヤギとオオカミ。二人は暗闇の中で、お互いの正体に気付かないまま語り合います。そして…

本来会話をすることさえないはずの2匹が、ひょんなきっかけで友だちになり、お互いの立場故に色んな障害に遭い、友情との板挟みになっていく物語です。

感動のラストは読んでのお楽しみ。

あらしのよるに の解説・感想


全巻読むことをオススメします


1巻の「あらしのよるに」から「まんげつのよるに」まで7巻に及ぶお話です。(他に番外編もありますがここでは割愛)ここでは、シリーズ全7冊としてご紹介します。

当初は1巻だけで完結の予定だったようです。それが人気故に巻を重ねて、7巻で本当に完結。1冊1冊それぞれ単独に読んでも読めないことはないのですが、やはり最初から通して最後まで読むことをおすすめします。

絵本としてはかなり凝ってる作り


ドラマの要素が盛り込まれていて、絵本の中でここまでやっちゃうの?っていう位、どの巻もハラハラドキドキの場面があります。

また、各巻のタイトルに含まれるお天気(嵐とか)を使ってうまく話が作られているんですよ。

そして、巻を追うごとにだんだん話はシリアスな方向に向かい、ドキドキ感も増していきます。オオカミとヤギですから、お互いに天敵と餌の関係です。話が進んで終盤になると、その辺の葛藤が生死に関わる重大な意味を持ってきます。オーバーだと思われるかも知れませんが、古典文学にも通ずるような普遍的なものをも含んでいると思います。

小さい子には難しいかも


ただちょっと子ども向けの絵本としては話の構成が複雑で、文も皆まで言わないような面もあります。小さいお子さんは難しいかな。テレビのアニメーション番組が理解できれば何とかそこそこ楽しめるとは思いますが…。でも逆にとらえると、それぞれの立場を理解し、偶然のいたずらがこの話を成立させている事を理解する必要があるわけで、いわば行間を読まなければいけないという意味で国語教育上有用であるとも言えるかと思います。こどもの3年生の国語の教科書にもこの作品は載ってましたからね。

ウチの4歳の子は、時には「食べられちゃうー」ってドキドキして布団に潜り込んだりしながらも、面白いみたいで続きを催促されましたが、理解できないところも多々ありましたね。5歳か、もしくは小学生位の方が、楽しめていいんじゃないかと思いました。

ご存じの方も多いと思いますが、映画やテレビアニメにもなっていますよ。

また小説版も出版されています。新たなエピソードや異なる結末も用意されているようで、いずれ読んでみたいと思っています。