文 バージニア・リー・バートン
絵 同上
訳 むらおかはなこ
発行 福音館書店
初版 1961/8/
対象年齢 4歳から 自分で読むなら小学校中級向き
文字の量 やや多め
発行部数 136万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 B
いたずらきかんしゃちゅうちゅう のあらすじ・内容
小さな機関車ちゅうちゅうは、毎日人や荷物を運んで、駅から駅へと走っています。
ところがある日、ちゅうちゅうはふと考えます。後にくっついてる客車や貨車がなければもっと速く走れるようになるだろうし、そうしたらみんながかわいいと言ってくれんじゃないかな。
とうとうちゅうちゅうは、隙を見て自分一人逃げ出してしまい、あちこちでドタバタの大騒動を巻き起こします。
いたずらきかんしゃちゅうちゅう の解説・感想
作者が自分の息子さんのために書いたお話のようで、乗り物好き、冒険好きの男の子にはピッタリだと思います。表紙を見ていただくとわかると思いますが、躍動感とスピード感あふれる絵なんですよ。お話の展開の方も絵に劣らず、次々と色んな場面が現れて、アクション映画を見ているかのようです。
表紙は2色になっていますが、中身はすべてモノクロです。一見地味。でもこの躍動感はそんな事を感じさせない位リアリティを伴っています。
文章のレイアウトが、お話の内容や絵に合わせて、形を変えるところが面白いです。遊び心を感じます。この作者さんは、自分の子どもを喜ばせることが念頭にあるためなのか、サービス精神旺盛で他の絵本にあんまりないようなアイデアが盛り込まれている事が多くて好きです。
上の概要にも書いた「後にくっついてる客車や貨車がなければもっと速く走れるようになるだろうし、そうしたらみんながかわいいと言ってくれんじゃないかな」というちゅうちゅうの気持ち。子どもそのものですよね。そしてちゅうちゅうはイタズラが過ぎて周りの人たちを怒らせてしまいます。そしてやがて自分の力ではどうにもできない窮地に陥ってしまいます。でも子どもにとっての両親のように、ちゃーんと助けがはいるんですね。ホッとできるラストでよかったです。小さな読者たちは、ちゅうちゅうと自分に重なる部分を見るかも知れませんね。
ただ45ページとボリュームがありますし、文字もやや多めなので、子どもによってはちょっと長いと感じることももしかしたらあるかも知れません。お話の世界にはまり込んだらそんなの関係ないと思いますけどね。
チュウチュウトレインという歌がありますよね。何か関連があるのかと思ったら、ちゅうちゅうというのは機関車が走る音から来ているようですよ。
しかしこの絵本、日本での初版が1961と古いです。しかしずっと版を重ねて今でも普通に入手可能。しかも大きめの本屋さんなら大抵置いてあると思います。長く愛されてきて今も定番の位置を確保しているロングセラーです。
同じバージニア・リー・バートンさんの作品『ちいさいおうち』もこのブログでご紹介しています。こちらは本作とはまったく毛色の違う作品ですが、名作ですよ。
本書と同じような子どもの冒険を描いた絵本を他にもご紹介しています。→ タグ『冒険』
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