文 しみずみちを
絵 山本まつ子
発行 岩崎書店
初版 1972/4/
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
発行部数 106万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 A

はじめてのおるすばん のあらすじ・内容


3歳のみほちゃんは、ある日お母さんに初めてのお留守番を頼まれます。みほちゃんはぬいぐるみのくまちゃんと一緒だからと軽く安請け合いしますが…

でも一人になってみると、急に心細くなってきてなんだか怖い。郵便屋さんや新聞屋さんがやってくると怖くて泣きそうになってしまうみほちゃんですが…

初めて一人で留守番を任されたみほちゃんの心の動きを描いたお話です。

はじめてのおるすばん の解説・感想


文にも絵にも、母親の眼差しって言うんですかね、そういうものを感じます。絵を書かれた山本まつ子さんはもちろん、実は作者のしみずみちをさんも女性なんですね。

みほちゃんの仕草や行動を見ていると、不安な気持ちがよく伝わってきて、「あ~そうだよね~わかるわかる」って納得してしまいます。ちょっとしたお話ですけど、読者の子どももみほちゃんと一緒にドキドキしたり、ホッとしたり、共感してハマる子はかなりハマるんじゃないかな、と思います。一人でお留守番なんて、小さい子どもにとっては大冒険ですもんね。

表紙の絵を見るとそこはかとなくホラー系のような雰囲気も漂っています。大人はそんなことないってわかりますけど、小さい子どもにとっては不安を感じる可能性もありますね。ストーリーの大半も不安の中で見知らぬ大人の男の訪問者がドアの向こうに現れてビクビクしながら対応するというものです。二番目の訪問者である新聞屋さんなんかドアの郵便入れの穴から中を覗いてきて、みほちゃんはその目が見えるんですよ。これもちょっと怖いかも。『大冒険』を通り越して、感受性の強いお子さんは気疲れしてしまったり怖がったりする可能性もなくはないかな。心配がある場合はお父さんお母さんの膝の上で読んであげたらいいかも知れませんね。

当然最後はお母さんが帰ってきてハッピーエンドです。呼び鈴が3回なったらお母さんだという事前の取り決めがあったみたいで、そんな小さな約束がパッとみほちゃんの心を明るくします。訪問者についてお母さんにちゃんと説明できるかどうか…どうでしょう、大負けに負けてぎりぎり及第点かな。お土産のプリンで笑顔でお話は締めくくられますよ。くまちゃんの分もあるのが芸が細かくて微笑ましいです。

舞台は多分団地なんでしょうね。絵の雰囲気も昭和のテイストです。鉛筆に水彩で少しいわさきちひろさんに似たタッチです。

気に入っていただけたらこちらもどうぞ。同じ『はじめての』の絵本です。→ はじめてのおつかい