文 ジーン・ジオン
絵 マーガレット・ブロイ・グレアム
訳 わたなべしげお
発行 福音館書店
初版 1964/3/
対象年齢 3歳から
文字の量 やや少なめ
発行部数 187万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 B
黒いぶちのある白い犬ハリーはお風呂が大の苦手。ある日お風呂にお湯をはる音が聞こえると、ブラシをくわえて外へ飛び出し庭に埋めてしまいました。そして、そのまま外へ出ていきます。
まずは道路工事の現場で遊んで泥だらけに。
お次は蒸気機関車が走る橋の上で遊んですすだらけに。
その次は他の犬たちと鬼ごっこをしてさらに汚れます。
ダメ押しで石炭を載せたトラックで滑り台遊び。
あんまり汚れてしまい黒いぶちのある白い犬のはずが、白いぶちのある黒い犬のようになってしまいました。
もっと遊びたいハリーでしたが、家出をしたと勘違いされるといけないので帰ることにします。
しかし家の人達はあまりに汚れて見た目が変わってしまったハリーを別の犬と思ってしまいます。逆立ちや宙返り、死んだ真似など色々と芸を見せてもわかってもらえません。ハリーはしょんぼり。でもいい事を思いつきました。
アメリカらしい陽気で楽しいお話と絵ですね。この絵本の魅力は何と言ってもハリーそのものでしょう。好奇心旺盛で無邪気なハリーのフィーリングは、人間の子どもの心持ちと一緒なんです。だから子どもにとって身近な存在になるでしょう。読者の子どもの中にはお風呂を嫌いな子もいるでしょう。また、遊びが大好きで汚れを気にすることなく(というかむしろ汚れることに喜びを感じて)遊び回る子もいるでしょう。そういう子どもの分身のようなハリーに読者の子どもも共感することと思います。ハリーが家の人に認識してもらえないところなんか、大人から見るとさすがにそんな事はないだろ~と感じるかも知れませんが、お話にのめり込んだお子さんは我が事のように心配するかもね。
あと、ロードローラー、トラック、ダンプカー、機関車、パワーショベル、乗用車など、作中に乗り物がいっぱい出てくるのも好きな子どもにはたまらないでしょう。
単純な構成ながら起承転結がしっかりあって、ブラシというアイテムなんかお話の中ですごく上手に効果的に使われていて、ホントよくできてるお話だと思います。物語の面白さをお子さんに感じてもらえるかも知れません。
お話の続きです。ハリーが思いついた”いい事”とは、埋めてしまったブラシを掘り起こしてお風呂に駆け込み、体を洗ってもらうように家族にアピールすることでした。お風呂嫌いでしたけど、そうも言ってられません。そうしてキレイにしてもらって自分がハリーであることをわかってもらえたのです。そしてホッとして家の中のお気に入りの場所でぐっすりと眠ります。心地よい自分の居場所に戻れた安心感があります。その時の文章が以下の通り。
さりげないけど、とってもいい文だと思います。読者の子どもも安心して本を閉じることができますね。
もしかしたら、お風呂嫌いのお子さんへの教育になりますかね。どうでしょう。試してみてもいいかもね。でもハリーの奴、最後にまた性懲りもなくブラシを隠してるんだよな~(笑)
マーガレット・ブロイ・グレアムさん(実はジーン・ジオンさんの奥さん)の絵柄はアメリカの昔ながらの子供向けアニメーションみたいなイメージです。シンプルですし使われている色も少ないのですが、ハリーの表情や仕草がとてもかわいく描かれていて、大きな魅力となっています。裏表紙のかわいさには「これはお部屋に飾ってもいいんじゃないか」とさえ思いました。あと、ハリーが家を出て町へと繰り出した時の町の様子は隅々まで細かく色んな事物が描かれています。鳥や虫やネコなどの生き物、町で働いている人達や歩いている人達の様子など。子どもは絵をよーく見てますからね。眺めるだけでも楽しめるかと思います。そうそう、ハリーが他の犬達と遊ぶ場面は、ハリーはどこにいるかな?って絵さがしのようにも楽しめると思います。
原著は1956年に出版されています。その頃のアメリカはこんな感じだったのでしょうか。蒸気機関車が走り、石炭が日常的に使われているようです。車の形もレトロな感じ。しかしその頃に生まれた絵本が、今もなお第一線の人気絵本として日本でも読まれているというのは驚くべきことです。子どもの心を掴む普遍的なものがあるんでしょうね。
因みに福音館書店のサイトでは、この絵本の対象年齢は『読んであげるなら4歳から、自分で読むなら小学低学年から』となっています。でもそこまで引っ張らなくてもいいんじゃないかなと思って私は『3歳から』にしました。お子さんによる個人差もあろうかと思います。ハリーが汚れて別の犬のように見えてしまうという、この物語の要が理解できるかどうかがポイントなんでしょうね。お父さんお母さんの読み方の工夫によって、お子さんが理解しやすくすることもできるんじゃないでしょうか。例えばハリーの汚れが増すたびに、見た目が少しづつ変わってきてることを印象づけてあげる一言を付け加えるとか。
これを読んだら、子どもは犬を飼いたくなるかも知れませんね。ちなみにどうしても犬を飼える環境にない時はハリーのぬいぐるみという手もありますよ。
ハリーの絵本はシリーズになっています。他にも『ハリーのセーター』『うみべのハリー』などがあります。本書が気に入ったらこれらもいかがでしょうか。
他にも犬が主人公の絵本がありますよ。 → 『アンガスとあひる』
また、犬が登場する絵本も色々あります。 → タグ 『犬』
絵 マーガレット・ブロイ・グレアム
訳 わたなべしげお
発行 福音館書店
初版 1964/3/
対象年齢 3歳から
文字の量 やや少なめ
発行部数 187万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 B
どろんこハリー のあらすじ・内容
黒いぶちのある白い犬ハリーはお風呂が大の苦手。ある日お風呂にお湯をはる音が聞こえると、ブラシをくわえて外へ飛び出し庭に埋めてしまいました。そして、そのまま外へ出ていきます。
まずは道路工事の現場で遊んで泥だらけに。
お次は蒸気機関車が走る橋の上で遊んですすだらけに。
その次は他の犬たちと鬼ごっこをしてさらに汚れます。
ダメ押しで石炭を載せたトラックで滑り台遊び。
あんまり汚れてしまい黒いぶちのある白い犬のはずが、白いぶちのある黒い犬のようになってしまいました。
もっと遊びたいハリーでしたが、家出をしたと勘違いされるといけないので帰ることにします。
しかし家の人達はあまりに汚れて見た目が変わってしまったハリーを別の犬と思ってしまいます。逆立ちや宙返り、死んだ真似など色々と芸を見せてもわかってもらえません。ハリーはしょんぼり。でもいい事を思いつきました。
どろんこハリー の解説・感想
アメリカらしい陽気で楽しいお話と絵ですね。この絵本の魅力は何と言ってもハリーそのものでしょう。好奇心旺盛で無邪気なハリーのフィーリングは、人間の子どもの心持ちと一緒なんです。だから子どもにとって身近な存在になるでしょう。読者の子どもの中にはお風呂を嫌いな子もいるでしょう。また、遊びが大好きで汚れを気にすることなく(というかむしろ汚れることに喜びを感じて)遊び回る子もいるでしょう。そういう子どもの分身のようなハリーに読者の子どもも共感することと思います。ハリーが家の人に認識してもらえないところなんか、大人から見るとさすがにそんな事はないだろ~と感じるかも知れませんが、お話にのめり込んだお子さんは我が事のように心配するかもね。
あと、ロードローラー、トラック、ダンプカー、機関車、パワーショベル、乗用車など、作中に乗り物がいっぱい出てくるのも好きな子どもにはたまらないでしょう。
単純な構成ながら起承転結がしっかりあって、ブラシというアイテムなんかお話の中ですごく上手に効果的に使われていて、ホントよくできてるお話だと思います。物語の面白さをお子さんに感じてもらえるかも知れません。
お話の続きです。ハリーが思いついた”いい事”とは、埋めてしまったブラシを掘り起こしてお風呂に駆け込み、体を洗ってもらうように家族にアピールすることでした。お風呂嫌いでしたけど、そうも言ってられません。そうしてキレイにしてもらって自分がハリーであることをわかってもらえたのです。そしてホッとして家の中のお気に入りの場所でぐっすりと眠ります。心地よい自分の居場所に戻れた安心感があります。その時の文章が以下の通り。
じぶんのうちって なんて いいんでしょう。
さりげないけど、とってもいい文だと思います。読者の子どもも安心して本を閉じることができますね。
もしかしたら、お風呂嫌いのお子さんへの教育になりますかね。どうでしょう。試してみてもいいかもね。でもハリーの奴、最後にまた性懲りもなくブラシを隠してるんだよな~(笑)
マーガレット・ブロイ・グレアムさん(実はジーン・ジオンさんの奥さん)の絵柄はアメリカの昔ながらの子供向けアニメーションみたいなイメージです。シンプルですし使われている色も少ないのですが、ハリーの表情や仕草がとてもかわいく描かれていて、大きな魅力となっています。裏表紙のかわいさには「これはお部屋に飾ってもいいんじゃないか」とさえ思いました。あと、ハリーが家を出て町へと繰り出した時の町の様子は隅々まで細かく色んな事物が描かれています。鳥や虫やネコなどの生き物、町で働いている人達や歩いている人達の様子など。子どもは絵をよーく見てますからね。眺めるだけでも楽しめるかと思います。そうそう、ハリーが他の犬達と遊ぶ場面は、ハリーはどこにいるかな?って絵さがしのようにも楽しめると思います。
原著は1956年に出版されています。その頃のアメリカはこんな感じだったのでしょうか。蒸気機関車が走り、石炭が日常的に使われているようです。車の形もレトロな感じ。しかしその頃に生まれた絵本が、今もなお第一線の人気絵本として日本でも読まれているというのは驚くべきことです。子どもの心を掴む普遍的なものがあるんでしょうね。
因みに福音館書店のサイトでは、この絵本の対象年齢は『読んであげるなら4歳から、自分で読むなら小学低学年から』となっています。でもそこまで引っ張らなくてもいいんじゃないかなと思って私は『3歳から』にしました。お子さんによる個人差もあろうかと思います。ハリーが汚れて別の犬のように見えてしまうという、この物語の要が理解できるかどうかがポイントなんでしょうね。お父さんお母さんの読み方の工夫によって、お子さんが理解しやすくすることもできるんじゃないでしょうか。例えばハリーの汚れが増すたびに、見た目が少しづつ変わってきてることを印象づけてあげる一言を付け加えるとか。
これを読んだら、子どもは犬を飼いたくなるかも知れませんね。ちなみにどうしても犬を飼える環境にない時はハリーのぬいぐるみという手もありますよ。
ハリーの絵本はシリーズになっています。他にも『ハリーのセーター』『うみべのハリー』などがあります。本書が気に入ったらこれらもいかがでしょうか。
他にも犬が主人公の絵本がありますよ。 → 『アンガスとあひる』
また、犬が登場する絵本も色々あります。 → タグ 『犬』
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