文 林明子
絵 同上
発行 福音館書店
初版 1989/6/
対象年齢 4歳から 自分で読むなら小学校初級向き
文字の量 やや少なめ~少し多め
発行部数 110万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 A
こんとあき のあらすじ・内容
こんは生まれてくるあきのためにおばあちゃんが作った、きつねのぬいぐるみです。あきがあかちゃんの時からずっと一緒に遊んできました。
ある日、だんだん傷んできたこんを直してもらおうと、あきとこんは二人だけで電車に乗っておばあちゃんの家へと向かいます。
道中色んなトラブルが起こり、その都度あきのために体を張ってサポートするこん。自らが傷んでボロボロになってきても「だいじょうぶ、だいじょうぶ」とあきを心配させまいとします。でもついに弱ってきたこんはその声さえも小さくなっていきます…
二人は無事におばあちゃんの家にたどり着けるのでしょうか。
こんとあき の解説・感想
私の好きな林明子さんの作品です。
これはまさにロードムービーですね。(映画の)ロードムービーは私の好きなジャンルです。『テルマ&ルイーズ』、『ミッドナイト・ラン』、『パリ、テキサス』等など、好みの映画が多いです。何故でしょうね。もしかしたら自分も旅をしている感覚になってしまうのかも知れません。そしてこの絵本『こんとあき』もまた私の好みであり名作なのであります。
やはり絵がいいんです。登場人物のほんのちょっとした仕草からも気持ちが伝わってくるようです。特に林明子さんはホントに小さい子どもを書かせたら天下無敵ですね。何と言いますか勝手に大人の理想のこども化されてたり、性格をお話用にデフォルメされたりしていない、どこにでもいる素のままのこどもなのです。だからすごくリアルです。
ぬいぐるみのこんが当然のようにしゃべったり動いたりするファンタジーの面があります。周りの大人たちもこんをあたかも人間のように遇します。旅の過程ではドキドキの冒険あり、ほのぼのする場面やちょっとグッと来てしまう場面など、盛りだくさんな内容です。
こんはいつもまだ小さいあきに気を使い、助ける騎士役なんです。こんの献身的な姿勢には「お前は男の中の男じゃ~!」と叫びたいほど(笑)。頭が下がります。こんはあきが生まれてくるのをお部屋で待ってたんですよね。冒頭のこの場面が、後になって思い返されて、ますますジーンとします。
少し長めで40ページあります。
うちのこどもには3歳の時に見せたんですが、少し早かったかな。でも後半はものも言わず神妙に見入っていました。何を感じていたのでしょうか。
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