
文 キヨノサチコ
絵 同上
発行 偕成社
初版 1976/8/
対象年齢 2歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 240万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 A
ノンタンが木の枝につながれたブランコで遊んでいると、うさぎさんが「ブランコ乗せて」とやってきますが、ノンタンは「まだ乗ったばかりだから」と断ってそのままブランコに乗り続けます。
次に他のうさぎさんがやってきて「ブランコ乗せて」と言いますが、「これから立ち乗りするんだもん」とやっぱり自分が乗り続けます。
その後も次々とお友達が「ブランコ乗せて」と来ますが、なんだかんだと理由をつけて替わってあげません。その内にお友達はみんな怒りだしてしまいます。
ノンタンはやっとみんなで交代でブランコに乗ることにします。10まで数えたら交代です。でもノンタン、1,2,3までは数えるのですが、その後また1から始まっていつまでたっても10になりません。またお友達が怒り始めますが、実は…
最後には仲良くみんなで交代してブランコで遊びますよ。
実はあまり期待せずに読んだのですが、思いがけずとてもいい本でした。(失礼!)漫画っぽい感じの絵なので敬遠される親御さんもいるかも知れませんが、一度お手にとって中身を見ていただいたらいいと思いますよ。
『自分だけがよければいい』じゃダメで、お友達の事も考えてあげなくちゃねという事。そして順番というのが一つの解決策である事を覚えるのにいいです。しかし、そんな教訓だけの絵本じゃ子どもにはウケないでしょう。実はそれだけじゃないんです。その辺り、ちょっとご紹介していきたいと思います。
実はノンタン、3までしか数えられなかったんです。子どもにしてみたら親しみが湧きますよね。ノンタンはそれをカミングアウトする時にすごく恥ずかしそうにしてるけど、他の動物達は「みんなで10まで数えてあげるよ」と快く言って協力してくれます。私は自分の子どもに、知らないことは知らない、できない事はできないと、隠さずにいて欲しいです。隠してしまうと自分で自分が成長する機会を奪ってしまう事になるから。そういう意味でこの場面があってよかったと思うのです。知らない事、できない事があるのはあくまでも途中経過であって恥ずかしい事じゃないと考えられるようになってほしいです。そして逆の立場でお友達を馬鹿にしないで協力してあげてほしいです。恐らくノンタンもこれで10まで数えるようになったでしょうね。
ブランコを交代で乗るのに10数えるのですが単純に数えるだけではなくて、数え歌をみんなで歌います。ここがこの本の最大の魅力じゃないでしょうか。この歌は10数えて、それにプラスおまけがあるのがすごくかわいい!。この歌があれば順番を待ってるお友達も楽しいよね。まだ10まで数えられない子もこの数え歌であっという間に覚えちゃうでしょ。それとこの歌はブランコ以外にも育児の色んな場面で活用ができそうです。
ノンタンはもとより、お友達も表情豊かに描かれていていいですね。楽しい顔、意地悪な顔、疑心暗鬼な顔、恥ずかしい顔、怒った顔。こういう絵も知らず知らずの内にこどもに人間の感情というものを教えているかも知れません。いい顔はどの絵本でも見られるでしょうが、ネガティブな感情を表す表情というのは少ないでしょう。漫画みたいなタッチの絵ですけど、そういう点で特徴のある絵本だと思います。
本作は『ノンタンあそぼうよ』シリーズの第一作に当たります。このシリーズは大抵ノンタンが最初子どもらしい率直さでやりたい事をやり(いわゆる”良い子”ではない)、そのせいで少々まずい状況になり、最終的に解決策を身につけるというのが一つの典型的なパターンになっています。この『最初子どもらしい率直さでやりたい事をやる』という部分に関しては、自由にやりすぎて失敗する反面教師としての意味もあるでしょう。それともうひとつ、まだ小さい読者の子どもにとって、それがわがままであったとしても自分の欲求を隠さないノンタンは自分の気持ちを代弁してくれるような存在であり、等身大に感じられるという意味もあるでしょう。だから子どもはノンタンが大好きなのかなと思います。ブランコにもっと乗っていたいという気持ち自体は悪いものではないですし、やりたい事があるというのは大切な事ですよね。そこも描いてくれた上で解決策を提示しているのは子どもも納得感があるんじゃないでしょうか。ノンタンと読者の子どもが一緒に成長していくようなそんな絵本ですね。ミリオンぶっくにはノンタンシリーズが、本作以外にも数冊リストアップされています。同一シリーズでこれほど何冊もミリオンになるほど売れるなんてノンタンしかないんですよ。
文章はセリフだけです。そのセリフが「まってよ、まってよ」とか「ずるいよ、ずるいよ」とか、同じ言葉の繰り返しが多くてリズムがいいです。さらに「ノンタン、ノンタン、ぶらんこ のせて」と同じセリフをとともに友達が次々やってくるのもまた子どもの好きな同じパターンの繰り返しになっていて、やはりリズムがいいですし、小さい子どもがわかりやすくて覚えやすいです。
ノンタンはいくつかのシリーズがあります。まずは本書を第一巻とする『ノンタンあそぼうよ』シリーズ。

このシリーズの他の絵本もご紹介していますので、よろしければご覧ください。 → 『ノンタン おやすみなさい』『ノンタン およぐのだいすき』
他のシリーズとしては『ノンタンボードブック』シリーズ。これは全3巻で、それぞれひらがな、数字、アルファベットを覚える本です。
さらにもっと小さい子向けの『赤ちゃん版ノンタン』シリーズ。

その他にも単発の企画本がいくつかあります。
アニメーションにもなって広く親しまれています。
絵 同上
発行 偕成社
初版 1976/8/
対象年齢 2歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 240万部(2014時点)ミリオンぶっく
オススメ度 A
ノンタンぶらんこのせて のあらすじ・内容
ノンタンが木の枝につながれたブランコで遊んでいると、うさぎさんが「ブランコ乗せて」とやってきますが、ノンタンは「まだ乗ったばかりだから」と断ってそのままブランコに乗り続けます。
次に他のうさぎさんがやってきて「ブランコ乗せて」と言いますが、「これから立ち乗りするんだもん」とやっぱり自分が乗り続けます。
その後も次々とお友達が「ブランコ乗せて」と来ますが、なんだかんだと理由をつけて替わってあげません。その内にお友達はみんな怒りだしてしまいます。
ノンタンはやっとみんなで交代でブランコに乗ることにします。10まで数えたら交代です。でもノンタン、1,2,3までは数えるのですが、その後また1から始まっていつまでたっても10になりません。またお友達が怒り始めますが、実は…
最後には仲良くみんなで交代してブランコで遊びますよ。
ノンタンぶらんこのせて の解説・感想
漫画っぽい絵の印象にとらわれず一度見てみて欲しい
実はあまり期待せずに読んだのですが、思いがけずとてもいい本でした。(失礼!)漫画っぽい感じの絵なので敬遠される親御さんもいるかも知れませんが、一度お手にとって中身を見ていただいたらいいと思いますよ。
『自分だけがよければいい』じゃダメで、お友達の事も考えてあげなくちゃねという事。そして順番というのが一つの解決策である事を覚えるのにいいです。しかし、そんな教訓だけの絵本じゃ子どもにはウケないでしょう。実はそれだけじゃないんです。その辺り、ちょっとご紹介していきたいと思います。
できない事は正直に
実はノンタン、3までしか数えられなかったんです。子どもにしてみたら親しみが湧きますよね。ノンタンはそれをカミングアウトする時にすごく恥ずかしそうにしてるけど、他の動物達は「みんなで10まで数えてあげるよ」と快く言って協力してくれます。私は自分の子どもに、知らないことは知らない、できない事はできないと、隠さずにいて欲しいです。隠してしまうと自分で自分が成長する機会を奪ってしまう事になるから。そういう意味でこの場面があってよかったと思うのです。知らない事、できない事があるのはあくまでも途中経過であって恥ずかしい事じゃないと考えられるようになってほしいです。そして逆の立場でお友達を馬鹿にしないで協力してあげてほしいです。恐らくノンタンもこれで10まで数えるようになったでしょうね。
この数え歌は最高!待ってる時間も楽しくなる
ブランコを交代で乗るのに10数えるのですが単純に数えるだけではなくて、数え歌をみんなで歌います。ここがこの本の最大の魅力じゃないでしょうか。この歌は10数えて、それにプラスおまけがあるのがすごくかわいい!。この歌があれば順番を待ってるお友達も楽しいよね。まだ10まで数えられない子もこの数え歌であっという間に覚えちゃうでしょ。それとこの歌はブランコ以外にも育児の色んな場面で活用ができそうです。
表情が豊か
ノンタンはもとより、お友達も表情豊かに描かれていていいですね。楽しい顔、意地悪な顔、疑心暗鬼な顔、恥ずかしい顔、怒った顔。こういう絵も知らず知らずの内にこどもに人間の感情というものを教えているかも知れません。いい顔はどの絵本でも見られるでしょうが、ネガティブな感情を表す表情というのは少ないでしょう。漫画みたいなタッチの絵ですけど、そういう点で特徴のある絵本だと思います。
ノンタンは所謂”いい子”ではないからこそいい
本作は『ノンタンあそぼうよ』シリーズの第一作に当たります。このシリーズは大抵ノンタンが最初子どもらしい率直さでやりたい事をやり(いわゆる”良い子”ではない)、そのせいで少々まずい状況になり、最終的に解決策を身につけるというのが一つの典型的なパターンになっています。この『最初子どもらしい率直さでやりたい事をやる』という部分に関しては、自由にやりすぎて失敗する反面教師としての意味もあるでしょう。それともうひとつ、まだ小さい読者の子どもにとって、それがわがままであったとしても自分の欲求を隠さないノンタンは自分の気持ちを代弁してくれるような存在であり、等身大に感じられるという意味もあるでしょう。だから子どもはノンタンが大好きなのかなと思います。ブランコにもっと乗っていたいという気持ち自体は悪いものではないですし、やりたい事があるというのは大切な事ですよね。そこも描いてくれた上で解決策を提示しているのは子どもも納得感があるんじゃないでしょうか。ノンタンと読者の子どもが一緒に成長していくようなそんな絵本ですね。ミリオンぶっくにはノンタンシリーズが、本作以外にも数冊リストアップされています。同一シリーズでこれほど何冊もミリオンになるほど売れるなんてノンタンしかないんですよ。
リズムがよく覚えやすい文章
文章はセリフだけです。そのセリフが「まってよ、まってよ」とか「ずるいよ、ずるいよ」とか、同じ言葉の繰り返しが多くてリズムがいいです。さらに「ノンタン、ノンタン、ぶらんこ のせて」と同じセリフをとともに友達が次々やってくるのもまた子どもの好きな同じパターンの繰り返しになっていて、やはりリズムがいいですし、小さい子どもがわかりやすくて覚えやすいです。
ノンタンはいくつかのシリーズがあります。まずは本書を第一巻とする『ノンタンあそぼうよ』シリーズ。

このシリーズの他の絵本もご紹介していますので、よろしければご覧ください。 → 『ノンタン おやすみなさい』『ノンタン およぐのだいすき』
他のシリーズとしては『ノンタンボードブック』シリーズ。これは全3巻で、それぞれひらがな、数字、アルファベットを覚える本です。
さらにもっと小さい子向けの『赤ちゃん版ノンタン』シリーズ。

その他にも単発の企画本がいくつかあります。
アニメーションにもなって広く親しまれています。