文 さとうわきこ
絵 同上
発行 福音館書店
初版 2005/12/1
対象年齢 5歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 28
発行部数 不明
オススメ度 B

ばばばあちゃんのなんでもおこのみやき のあらすじ・内容


冷たい風の吹く日。子ども達が外で元気に遊んでいます。ばばばあちゃんは、何か温かいものを作ってみんなで食べようと考えます。

庭でとれたキャベツを千切りにし、ホットプレートを温めて油を塗り、水と卵と小麦粉で生地を作ります。生地を焼いて、キャベツを乗せて、トッピングを乗せて、さらに豚肉も乗せて、焼きそばを作って、目玉焼きを作って…ばばばあちゃんお得意のお好み焼きができました。美味しい匂いに子ども達がやってきました。

美味しかったけど、あっという間になくなっちゃった。すると一人の女の子が自分の家のお好み焼きを作り始めます。今度は全部混ぜて焼くタイプのお好み焼き。これも美味しい!でもまだ足りない。

今度は男の子が甘~いお好み焼き=クレープを作ります。

クレープを作ってもまだ余ってる生地。ばばばあちゃんはこれに砂糖と小麦粉とバターを加えて焼くことにします。みんなでいろんな形を作って木の実を乗せたりしてオーブンシートに乗せて焼いて、クッキーの出来上がり。これも、お・木の実・焼きだね。みんなで分けて袋に入れて、それを持ってまた外へ遊びに行きます。

ばばばあちゃんのなんでもおこのみやき の解説・感想


お話仕立てになってるから子どもも興味を持ちやすい


一応お話風になっていますが、実質はレシピ本のようなものです。でもお話風になっていることにより、読者の子どものワクワク感を誘います。できた料理の美味しそうなところ、みんなで味わう楽しさ、作る楽しさ、作り手の気持ち、料理ができる子どものカッコ良さ、等々。いつも基本的にお母さんが作ってくれる料理を食べるばかりの子どもにとっては作るという行為はとても新鮮でしょう。子どもの料理に関する興味を広げてくれる絵本です。

実際に作ってみましたよ


ウチの子はこの絵本がだいぶ気に入ったようでまともに料理なんてしたことないのにこの絵本を見る内に細かい手順まで覚えてしまったようです(笑)。その影響である日のウチの夕飯は焼きそばが入った広島風お好み焼きになりました。子どもは初めて食べた広島風お好み焼きを気に入ったようでした。この経験はただ単に広島風お好み焼きというものを知ったという事にとどまらないでしょう。お母さんが子どもの要望に沿って絵本の中の食べ物を作ってくれたという喜び、(できる範囲だけど)自分も参加した喜び、絵本に書いてあったことが現実になる面白さ、普段できあがった料理しか見ることがない子どもがその料理の舞台裏を知るなど、子どもに様々な意味でよい経験になったと思います。

わかりやすく臨場感のある説明


最初はばばばあちゃんが広島風お好み焼きを作ります。作り方は漫画のようなコマ割りで一つ一つの過程がわかりやすく説明されています。必要な情報だけに絞り込んで描ける分、絵は写真よりもわかりやすいし、湯気なんかが描かれるとホットプレートの熱さなんかも伝わってきて美味しそうなイメージが頭の中にできちゃいますね。出来上がったらみんなで熱々をいただきます。美味しそう。

絶対子どもも自分でやってみたくなるはず


次は女の子が生地に具を混ぜて焼く普通のお好み焼きを作ります。これも大好評。そしてクレープ、クッキーと続きます。普通のお好み焼きとクレープは子どもが作っていて、クッキーも子どもが手伝います。読者の子どもも自分でやってみたいという気持ちを引き起こす可能性大です。そして自分でもやってみるというのがこの絵本の楽しみの最たるところなのかも知れません。

思い思いのセリフが微笑ましい


絵にはこども達のちょっとしたセリフも漫画風に随所に書き込まれていてこれが楽しい雰囲気を伝えてくれます。現実の子どもなんて絵本のように順番にセリフを言うわけじゃありません。みんな好き勝手に思い思いの事を言葉にするわけで、その自然な感じが出ていて微笑ましいです。ただ読み聞かせの時は読み方に苦労しますけどね(汗)

ばばばあちゃんは私の理想の大人


いつも子どもをワクワクさせてくれるばばばあちゃんは私にとって理想の大人です。生きることは楽しい!って自然に教えてくれる、そういう大人でありたいなと思っています。

裏表紙の見返しには材料と分量がメモされていました。作り方も本文でくわしく説明されていますので、絵本と言ってもちゃんとした料理の実用書として成り立っています。

対象年齢は絵本自体には『読んであげるなら4歳から 自分で読むなら小学校初級向き』と書かれています。私は、4歳だとまだ微妙に早い子も多いかなって思って5歳からにしましたけど、子どもそれぞれの興味にもよるだろうし、親御さんの判断でどちらでもいいとも思います。因みにもっと小さい子には『しろくまちゃんのほっとけーき』がおすすめですよ。こちらも作るプロセスが細かく描写されていて食べるシーンもあり、やっぱり自分でも食べたくなっちゃうと思います。

ばばばあちゃんシリーズは以前『ばばばあちゃんのやきいもたいかい』もご紹介しました。こちらも食べ物や料理に対するこどもの好奇心を刺激しそうな内容です。

料理に関する絵本を他にもご紹介しています。 → タグ『料理