文 バーバラ・クーニー
絵 同上
訳 かけがわやすこ
発行 ほるぷ出版
初版 1987/10/15
対象年齢 6歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B
ルピナスさん 小さなおばあさんのお話 のあらすじ・内容
ルピナスさんのおじいさんは広く見聞をもった人で、まだ子どもだったルピナスさんに遠い国々の話をよくきかせていました。ルピナスさんはおじいさんの影響を受けて宣言します。「私も大きくなったら遠い国に行く。そしておばあさんになったら海のそばにすむことにする」
そしてさらにおじいさんと一つの約束をします。それは「世の中をもっと美しくするために何かをすること」です。
ルピナスさんは成長し、世界中を旅します。南の島、雪の溶け切ることのない高山、ジャングル、砂漠などなど。そしてケガをキッカケに海のそばに住み始めます。さておじいさんとの約束はどうなるのでしょうか。
ルピナスさん 小さなおばあさんのお話 の解説・感想
ルピナスさんと呼ばれる理由
ルピナスとは花の名前です。黄、オレンジ、赤、青、紫、ピンク、白などいろんな色がある美しい花だそうです。ルピナスさんの本名はアリス・ランフィアスですが、みんなからルピナスさんと呼ばれるようになった理由は、おじいさんとの約束を果たした結果なのです。それにしてもこの約束、とても素晴らしいですね。このブログもほんの微力ではありますが、多少は世の中の役にたったら嬉しいなと考えながら綴っております。
独立心をもった女性
ルピナスさんは自由で好奇心旺盛で活動的な女性です。世界中を旅して周る人生を送りました。旅の中で忘れられない人達との数々の出会いがありました。そして今は親戚の女の子やその友達が時々ルピナスさんの家を訪ねてきます。おばあさんになった現時点で未婚です。人生を共にする伴侶と子どもがいないことで一面では孤独な人生でもあるような気がしますが、おそらくルピナスさんは後悔などしていないでしょう。
本作はルピナスさんの親戚の女の子(ルピナスさんを大おばさんと呼んでいます)がルピナスさんから聞いた話として語られます。そして最後には、ルピナスさんがかつておじいさんとした約束が、今度はルピナスさんと女の子の間に交わされます。この女の子もルピナスさんの独立心を受け継いでいくのかも知れません。
作者のバーバラ・クーニーさんは結婚して4人のこどもに恵まれたそうですが、もしかしたらこんな人生に対するあこがれも胸に秘めていたのかも知れませんね。
美しい絵
バーバラ・クーニーさんの絵は品があって可愛らしく色彩豊かで細かいところまで描き込まれています。水彩絵の具に色鉛筆でアクセントをつけるという独特の画法なのだそうです。私はこの絵がとても好きです。他の作品もご紹介しています。バーバラ・クーニーのタグからどうぞ。
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