
文 中川正文
絵 梶山俊夫
発行 福音館書店
初版 1969/8/1
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 28
発行部数 不明
オススメ度 B
ごろはちだいみょうじん のあらすじ・内容
憎めないいたずらもののタヌキがいました。村人たちはタヌキを『ごろはちだいみょうじん』と呼び、あんまりいたずらをしないでくれと時々お供え物をしていました。
ある時から村に鉄道工事が始まります。そしてとうとう村に初めて汽車がくる日がやってきました。村はお祭りのような騒ぎです。
ところがいざ汽車が見えてきた時に汽車を見たことがない村人たちは「これが汽車なのか?」「またごらはちのいたずらではないのか?」と変な方向へ勘違いしてしまい、汽車が向かってくる線路に上がってきてしまいます。慌てたごろはちは…
ごろはちだいみょうじん の解説・感想
全編大阪弁(?)で語られる、ユーモアとペーソスが入り混じったお話です。男はつらいよの寅さんを思い浮かべていただいたら雰囲気が近いと思います。昔話のような印象と完成度ですが完全に作者の創作によるものだそうです。絵もこのお話にぴったりの愛着を感じられるタッチです。
タヌキのいたずらは他愛のないもので、村人たちは多少迷惑しつつも憎めないタヌキに付き合って供物を捧げています。こういう若干社会からはみ出してしまうキャラクターを口では悪く言いつつも邪険にしないで暖かく見守る雰囲気がいいなと感じます。
タヌキは村人たちを助ける代わりに結局死んでしまいます。村人たちはごろはちが本当に大明神様だったと言ってお祀りします。実は悲しくまた感慨深いお話です。でもそれを殊更強調することなく最後までユーモアで包んでいるところが、とても気骨のある大人らしい表現方法だと思います。
出版は1960年代で、1994年に第47刷を数えています。長く愛されている息の長い作品です。
ちょっと心配なのは関西弁を理解できるかどうかですね。必要に応じて標準語も交えたり、説明を加えたりすることでウチのこどもはわかってもらえました。
コメント
コメント一覧 (2)
年末はキリスト様、正月は神様、葬式は仏様の中で暮らす毎日です。そこに、「仏様やない神様や」、「たぬきにあぶらあげとは」と言いながら催促しているごろはち。私たちの生活を描いているなあと感じ入っています。さらに、ごろはちだいみょうじんの絵本の中からおもしろさを発見できることを期待しています。来週は年金暮らしの方々にお話しします。
itoigawamon
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