文 こいでやすこ
絵 同上
発行 福音館書店
初版 1995/3/1
対象年齢 3歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 A
おなべおなべにえたかな? のあらすじ・内容
きつねのきっこが友だちと大ばあちゃんの家に遊びに行くと、大ばあちゃんは鍋でスープを作っていて「もうすぐ煮えるからね」と言ってくれました。
ところが山のお医者さんでもある大ばあちゃんに急患が入り、きっこ達は大ばあちゃんが出かけている間、自分達だけで鍋の番をすることになります。
さあ上手に鍋の番ができるでしょうか。
おなべおなべにえたかな? の解説・感想
シリーズ中最高傑作(と私が勝手に決定)
個人的にこいでやすこさんのきつねのきっこシリーズ中最高傑作だと思います。きっこシリーズはそれぞれが四季に対応しているのですが本作は『春』。山の若葉やたんぽぽや蝶が美しく描かれています。
お鍋とお話しながら料理をする楽しさ
お鍋には顔がついていて色んな表情を見せてくれます。しゃべることもできるんですね。
きっこは鍋に訊きます。「おなべおなべ煮えたかな?」
すると鍋が答えます。「煮えたかどうだか食べてみよう!」
とにかくこのやりとりが楽しいのです。リズムもいいです。お鍋と会話しながら料理をするなんて絶対楽しいでしょ。またこの時のお鍋ときっこ達のイタズラっぽい表情がとてもかわいいです。
このやりとりを何度か繰り返し味見をしながら味を整えていき、スープはだんだん美味しくなっていきます。でもご想像の通りスープは逆にだんだん減っていきます(笑)。さてさてお鍋ときっこ達はこのまずい状況をどう解決するのでしょうか。そこは見てのお楽しみです。
こいでやすこさんの作品の特徴が本作にも
こいでやすこさんの作品は登場人物達の表情や仕草がもういちいち可愛らしいんですよ。こどもらしく内面の気持ちが表に素直に出てる感じ。これは大人が見ても楽しめると思いますよ。
他にもよく絵を見てみると細かい発見があるのです。例えばスープをもらいに小動物やアリンコやイモムシまで集まってきてそれぞれがこのお話に小さく貢献してるんですね。そういうのを見るのもまた楽しいと思います。こどもというのはそういうのを発見するのがとても上手。私などこどもに言われて初めて気づくことがしばしばあり、そういう会話をするのもまた楽しいのであります。
ラストもいいです。大ばあちゃん、優しいですね。そしてそんな大人に見守られながら成長していくこども達。なんとも暖かく幸せな雰囲気でお話は締めくくられます。
こどもはこの本を見たら料理に興味を持つかも知れません。
私の大好きなきつねのきっこのシリーズは他に『おおさむこさむ』『やまこえのこえかわこえて』をご紹介しています。
コメント