文 五味太郎
絵 同上
発行 福音館書店
初版 1977/7/1
対象年齢 3歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 28
発行部数 114万部(2019時点)ミリオンぶっく
オススメ度 B

みんなうんち のあらすじ・内容


動物はどんなウンチをするのかな?
ウンチをしたら後始末をする動物もいるよ

ウンチについて色んな切り口から表現した絵本です。物語絵本ではないのでご注意ください。

みんなうんち の解説・感想


ウンチを詩のように語る絵本


この絵本は福音館書店の『かがくのとも絵本』シリーズの一冊です。『かがくのとも』とは言え、以前ご紹介した「ちきゅうがウンチだらけにならないわけ」ほどに科学的に掘り下げた本ではありません。かと言って、ウンチがキャラクターとして活躍するようなお話の絵本でもありません。なんと言いますかウンチにまつわる詩を絵本にしたようなイメージです。色んな動物のウンチ事情が描かれ。そこにトイレのしつけや、すべての生き物は食べてウンチをするという摂理についての考察がそれとなく含まれているのです。

いろんな動物のいろんなウンチが出てくる


楽しい雰囲気の絵本です。色んな動物たちがそれぞれ自分のスタイルでウンチをするところが次々に出てきます。それが何ともユーモラスでかわいい。ウンチの形・大きさ、やり方などこんなに個性があるのですね。大人が見ても面白い。動物園に遊びに行く時に興味のポイントが一つ増えることになるかも知れません。

ユーモアいっぱいだけどおちゃらけてはいない


ウンチってだけでこどもにはウケるかも知れませんが、この絵本は説教臭があんまりなくて、ユーモアはあるけど茶化さずに下品にならずに子どもたちの興味を誘うように作られていて、それがすごくいいと思います。五味太郎さんらしい作品です。

これは名文(笑)


とても文章のリズムがよく楽しい雰囲気を醸し出しています。
ひとこぶらくだは ひとこぶ うんち
ふたこぶらくだは ふたこぶ うんち

この文章はリズムに加えてユーモアもあって名文ですね。ここは私、大好きです。(もちろん”ふたこぶうんち”はウソですし、”これはウソ”ってちゃんと本に書いてあります。五味太郎さんおちゃめだなぁ。)

わざと課題を残している部分も


途中でヘビとクジラが出てくるのですが、この2つに関してはどういう風にウンチをするのか書いてありません。「くじらのうんちはどんなの?」とか書いてあるだけ。当然こどもは知りたがるわけです。仕方ないから私が調べて教えてあげましたよ。でもこどもとのコミュニケーションになるし、分からない事を調べるという行為も見せてあげられました。五味太郎さんの術中にはまった感じがします。

トイレトレーニングに…どうかな?


途中から人間も出てきて、トイレのしつけについて語られます。内容は①決めたところでする②大きくなったらトイレでする③終わったら紙で拭いて水で流そう、の3点です。動物の例も交えながら教えてくれますよ。多少トイレトレーニングの助けにもなろうかと思います。

絵はカラフル


色使いが適度にカラフルにしてあって、写実的と言うよりどちらかと言うとアイコン的な絵ですし、うんちもそんなにリアリティはなく小さく描かれるので抵抗感は少ないと思います。

表紙や見返しにも工夫が


表紙にはかじった跡のあるりんごの絵が書かれています。生き物は食べるからウンチが出るということ事を暗に示しているのかなと思います。その事は本編でも描かれています。実は裏表紙にはかき氷の絵が書いてあります。これはなんでしょう?もしかして食べすぎてお腹を壊すことをイメージ??。(汚くてすみません。)それともうんちがテーマの絵本の中で一服の清涼剤の役割として描いたのでしょうかね(笑)見返しには色んな形のウンチが描かれているので、どの動物のウンチかクイズのように楽しむこともできるかと思います。

文章はとても少なく小さい子でも


ミリオンぶっくの冊子では4歳からとなっていましたが、文章は量が少ないですし内容も平易で、3歳以下でも大丈夫だと思います。また文章量はかなり少なく、ひらがなのみでフォントも大きく、ひらがなを覚えた子は自分でも読めるかも。逆にひらがなを知らない子でも、読み聞かせる内に文章を覚えちゃうようならひらがなを覚えるきっかけになるかも知れません。