文 さのようこ
絵 同上
発行 フレーベル館
初版 1975//
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

だってだってのおばあさん のあらすじ・内容


98歳のおばあさんと元気な子猫の男の子が一緒に住んでいます。

子猫はいろんな事でおばあさんを外に誘い出そうとしますが、おばあさんはいつも「だって私は98歳だもの」と断ります。

そして99歳の誕生日の日。子猫はケーキに立てるろうそく99本を買いにお使いに行きますが、途中でろうそくをなくしてしまい、残ったのは5本しかありません。仕方なく5本のろうそくでお祝いをすることにしますが…

だってだってのおばあさん の解説・感想


5本のろうそくでお祝いした次の日からおばあさんはガラリと変わります。「だって私は5歳だもの」と川を飛び越え、魚を捕り、人生を楽しみ始めます。

5本のろうそくでお祝いしたからってそんなに急に気持ちが変わるものか?って現実的なツッコミはやめておきましょう。新しいおばあさんは5歳のこどものようにいろんな事にチャレンジし、驚き、夢中になります。とってもチャーミングです。

このお話、よくよく考えてみるとあながち荒唐無稽とも思えないように感じます。人間って自らの思い込みで知らず知らずのうちに自らの人生の行く先を狭めている事が多いんですよね。『嫌われる勇気』でアドラー心理学の考え方を知ってから特にそう思うようになりました。自分の心の持ち方次第で人生を変えられるという見本をこの絵本は提示してくれているのかも知れません。

別に5歳にならなくても、こんな風に人生楽しんでいるおばあさん、現実にもいますよね。スマホアプリを開発したおばあさんなんていうニュースもありました。私ももういい加減人生後半に入っているのでしょうが、いい歳のとり方をしたいななんて思うこともあります。キーワードはこの絵本の示す通り、”子どもの心を失わない”という事なのでしょう。

そう言えば作者の佐野洋子さんも子どもの心を失っていないという感じの人なんですよね。エッセイ集を何冊か出しています。よかったら読んでみてください。面白いですよ。

作者のあとがきにはこう書かれていました。
おばあさんは一番たくさん子どもの心を持っているんですもの。

自分のおばあさんにプレゼントしたくなる本ですね。

ふと気付いたら、なんだか大人目線の感想ばかりになってしまいました。ウチのこどもも楽しんで読んでましたよ。ほんのささいなことからおばあさんが豹変してしまうのが可笑しかったみたい。