文 長谷川集平
絵 同上
発行 ブッキング
初版 2003/8/15
対象年齢 10歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B
主人公の男の子は長谷川くんの同級生。長谷川くんは森永ヒ素ミルク中毒事件の被害者で体が不自由です。
主人公は長谷川くんが嫌いです。なよなよしてて、みんなの足を引っ張り、一緒にいるとサポートが大変なのです。
ある時、友達と休みの日に山へ登ろうと相談していると長谷川くんが「ぼくも連れてって」と言いました。無理なことはわかっていますからダメだと言うと長谷川くんが泣き出したので仕方なく連れて行くことに。しかし当日10分も歩かない内にへばってしまい、みんな交代で長谷川くんをおんぶして登るはめになってしまいます。
他にも…
あとがきにから察するにこの本の作者は長谷川くん本人のようです。本当に森永ヒ素ミルク中毒事件で障害を負った方です。(本作は20歳の時に書かれたようです。)このお話はそういう方でないと書けないのではないでしょうか。小細工なしでど真ん中に直球を投げ込まれたような作品です。
お話は主人公の心の中にある思いが語られる形で、長谷川くんとの数々のエピソードが描かれていきます。この主人公はすごいです。普通の人は恐らく長谷川くんの事を可哀想と思いつつも、微妙に距離をおきがちなのではないでしょうか。主人公はその対極とも言える対応です。長谷川くんに対し「泣くな!」と殴ったりしちゃいます。一緒にいると大変だから嫌いだと言いつつも(多分心の中でだけ)何かと助けています。表面的な対応じゃないんです。偽善とは真逆の対応です。作者には実際にこんな友だちがいたのでしょうか。もうすごく考えさせられました。
以下、作品中の文章ですが、主人公が長谷川くんに投げかけた言葉の数々でしょう。
長谷川くんがこれらの言葉をどのように感じていたのかは想像するしかありません。いや想像も難しいです。追い詰められるように感じたかも知れないし、なんだかんだと付き合ってくれることに感謝したかも知れないし、どちらでもなくただ毎日をひたすら懸命に過ごしていただけかも知れません。作者の長谷川集平さんは、子どもの頃の旧友らを思い出しながらこの本を書いたのだそうです。
しかしこの長谷川くんはすごいです。もしこのような境遇になったら自分なら引きこもってしまうかも知れないと思いますが、長谷川くんは冒頭に書いたように山に一緒に行きたいと言い迷惑をかけ、戦力にならないのに野球に混ざり、結局毎度毎度泣くことになってもその積極性は失われません。何か勝てるものをとピアノを習ったりもしているようです。これはお母さんの教育から来ているのでしょうか。本人の生まれ持った性格から来るのでしょうか。いい友達に恵まれたことによるのでしょうか。
文字はすべて手書きで漢字には一切ルビがふってありません。それもあって10歳からとしました。ストーリーは難しいものではないので、もっと小さい子でも読み聞かせならある程度理解できると思います。
ヘタウマ風の絵ですが、こども達の表情がいいです。手書き文字と合わせて迫力があります。
絵 同上
発行 ブッキング
初版 2003/8/15
対象年齢 10歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B
はせがわくんきらいや のあらすじ・内容
主人公の男の子は長谷川くんの同級生。長谷川くんは森永ヒ素ミルク中毒事件の被害者で体が不自由です。
主人公は長谷川くんが嫌いです。なよなよしてて、みんなの足を引っ張り、一緒にいるとサポートが大変なのです。
ある時、友達と休みの日に山へ登ろうと相談していると長谷川くんが「ぼくも連れてって」と言いました。無理なことはわかっていますからダメだと言うと長谷川くんが泣き出したので仕方なく連れて行くことに。しかし当日10分も歩かない内にへばってしまい、みんな交代で長谷川くんをおんぶして登るはめになってしまいます。
他にも…
はせがわくんきらいや の解説・感想
長谷川くん本人が書いた絵本
あとがきにから察するにこの本の作者は長谷川くん本人のようです。本当に森永ヒ素ミルク中毒事件で障害を負った方です。(本作は20歳の時に書かれたようです。)このお話はそういう方でないと書けないのではないでしょうか。小細工なしでど真ん中に直球を投げ込まれたような作品です。
偽善とは真逆の対応
お話は主人公の心の中にある思いが語られる形で、長谷川くんとの数々のエピソードが描かれていきます。この主人公はすごいです。普通の人は恐らく長谷川くんの事を可哀想と思いつつも、微妙に距離をおきがちなのではないでしょうか。主人公はその対極とも言える対応です。長谷川くんに対し「泣くな!」と殴ったりしちゃいます。一緒にいると大変だから嫌いだと言いつつも(多分心の中でだけ)何かと助けています。表面的な対応じゃないんです。偽善とは真逆の対応です。作者には実際にこんな友だちがいたのでしょうか。もうすごく考えさせられました。
以下、作品中の文章ですが、主人公が長谷川くんに投げかけた言葉の数々でしょう。
長谷川くん、泣かんときいな。長谷川くん、わろうてみいな。長谷川くん、もっと太りいな。長谷川くん、ごはんぎょうさん食べようか。長谷川くん、だいじょうぶか。長谷川くん。
長谷川くんがこれらの言葉をどのように感じていたのかは想像するしかありません。いや想像も難しいです。追い詰められるように感じたかも知れないし、なんだかんだと付き合ってくれることに感謝したかも知れないし、どちらでもなくただ毎日をひたすら懸命に過ごしていただけかも知れません。作者の長谷川集平さんは、子どもの頃の旧友らを思い出しながらこの本を書いたのだそうです。
長谷川くんの積極性
しかしこの長谷川くんはすごいです。もしこのような境遇になったら自分なら引きこもってしまうかも知れないと思いますが、長谷川くんは冒頭に書いたように山に一緒に行きたいと言い迷惑をかけ、戦力にならないのに野球に混ざり、結局毎度毎度泣くことになってもその積極性は失われません。何か勝てるものをとピアノを習ったりもしているようです。これはお母さんの教育から来ているのでしょうか。本人の生まれ持った性格から来るのでしょうか。いい友達に恵まれたことによるのでしょうか。
文章と絵について
文字はすべて手書きで漢字には一切ルビがふってありません。それもあって10歳からとしました。ストーリーは難しいものではないので、もっと小さい子でも読み聞かせならある程度理解できると思います。
ヘタウマ風の絵ですが、こども達の表情がいいです。手書き文字と合わせて迫力があります。
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