文 アーノルド・ローベル
絵 同上
訳 三木卓
発行 文化出版局
初版 1972/11/10
対象年齢 6歳から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 64
発行部数 不明
オススメ度 B

ふたりはともだち のあらすじ・内容


かえる君とがま君の二人の日常をほのぼのした雰囲気でユーモアを交えて語る短編集です。

はるがきた:待ちに待った春が来て、がま君の家を訪ねてきたかえる君ですが、がま君はまだ寝ています。起こそうとしても5月半ばになったらまた起こしてくれというばかりですが…

おはなし:具合が悪いかえる君を見舞ったがま君。かえる君に何かお話をしてほしいと言われますが、なかなかお話が思いつきません…

なくしたボタン:遠くにお出かけしたかえる君とがま君。家に帰り着くと、がま君の上着のボタンが一つなくなっていることに気付きます。二人は道を引き返してボタンを探しますが…

すいえい:二人は川で泳ぐことにしました。がま君は水着姿を見られたくないので、自分が着替えて水に入るまで見ないでいて欲しいとかえる君に頼みますが…

おてがみ:がま君が玄関の前で悲しそうな顔をして座っています。どうしたのかとかえる君に尋ねられたがま君は答えます。自分は手紙というものをもらったことがない、手紙を待つこの時間がとても悲しいのだと…

ふたりはともだち の解説・感想


1970年代初版で、原書はもっと昔でしょうから、かなり古い作品です。でも未だに版を重ねています。長い間愛され続けてきた作品なのでしょう。

感動物語ではない普通の友達関係


タイトルから、友情の感動物語とか、友だちとはかくあるべきとか、そういう内容を想像されるかも知れませんが、そうではありません。かえる君とがま君の日常のエピソードを切り取った寸劇のようなお話です。盛り上がりや起伏のあるようなお話ではありませんので、感動を期待し過ぎないでください。絵もそうですけど結構地味な本ですよ。

友をいたわったり、何かをしてあげたり、その一方でたまに切れたり、バカにしてしまったり、現実の友だちは常に固い友情を表に出しているわけではありません。でも二人は友だちなのです。それをそのまま描いています。マンガじゃないんですから、いつも熱々の友情丸出しの友だちなんて現実にはちょっとおかしいですよね。リアルな人間関係と言えるかも知れません。

コントみたいな感じ


私の印象は海外のアニメーションのようなものでした。お話の筋よりも登場するキャラクターの行動やオーバーな反応などその場その場のシチュエーションが面白いという風に感じます。ところどころにちょっとしたユーモアも含まれています。こんな話が面白いのかと思う大人ももしかしたらいらっしゃるかも知れませんが、こどもは結構食いついて聞いていて、時々笑っていましたよ。

二人はいいコンビ


かえる君はどちらかと言うと活発なタイプ。がま君はどちらかと言うとのんびりタイプ。この組み合わせがいい味を出しています。

教科書にも載った


最後のお話『おてがみ』だけは、日本人の琴線に触れるような優しい思いやりを描いたストーリーです。小学校の教科書にも載ったことがあるようです。

絵本というより児童文学寄り


小さい挿絵で、絵本というよりも児童文学よりです。ページによっては文章量が多いところもあります。64ページもありますしね。でも5話の短編集なので、一度に読むのでなければ途中で飽きてしまうような事はないと思います。

この本が気に入ったら『ふくろうくん』もどうぞ。同じアーノルド・ローベルさんの作品です。本作と似たテイストですよ。