文 いまえよしとも
絵 たしませいぞう
発行 ポプラ社
初版 1967/6/
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ~やや多め
ページ数 36
発行部数 不明
オススメ度 B

ちからたろう のあらすじ・内容


あるところにおじいさんおばあさんが暮らしていました。二人は貧しくお風呂さえも滅多に入れないほどです。

二人は、自分たちにはこどももいないし風呂でこんび(あか)を落としてそれでこども代わりの人形でも作ろうと話します。

こうしてできた人形に『こんびたろう』と名付けご飯を供えると、なんと手を出して食べ始めたではありませんか。二人は驚いてその後三食食べさせるようにします。

ある日突然口を開いたその人形はおじいさんに「百貫目(375kg)の金棒を作って欲しい」と頼みます。おじいさんは立つこともできぬのにどうするのかと不思議に思いながらも無理して金棒を作らせます。出来上がった金棒は若い衆が10人でやっとこ運び入れました。

こんぴたろうは金棒を杖にして立ち上がると背伸びをします、すると見上げるような大きさの若者になります。金棒も大根のように振り回します。こんぴたろうは『ちからたろう』と名前を変え、力で人の役にたつべく冒険の旅に出ます。

おなじみの昔話です。

ちからたろう の解説・感想


豪快さが楽しい


ちからたろうの豪快さが楽しいお話です。その名の通りものすごい力持ちなのです。その力を示すエピソードの数々がすごすぎて笑っちゃうほどです。子どもはこういう突き抜けたエピソードが好きですよね。ちからたろうは旅の途中で仲間と出会います。仲間というのも元々自慢の力持ちで最初にちからたろうと出会った時に力比べをします。ま、ちからたろうはあまりに別格なんですけどね。そのエピソードも豪快で面白いんです。

擬態語が楽しい


文中に特徴的な擬態語が頻繁に出てきます。意図的に入れたんでしょう、1ページの中に何度も出てくるくらい頻繁です。例えば『のっしじゃんがのっしじゃんが』という言葉はちからたろうが町を目指してのしのし歩く様子。こういう言葉がまた楽しさを盛り上げます。

伸びやかで迫力ある絵が楽しい


絵もまた迫力と妙な愛嬌があっていいです。絵を書いたたしませいぞうさんがあとがきでこんな事を言ってるんです。
子どもの絵本のおとぎ話がおもしろくないのは、そういう絵本をつくる人たちが、きっと、<子どものために>と考えすぎているからにちがいありません。けれども、そんなお子さま用のお上品な、気のぬけた魅力のない絵本は、害にも益にもならないのです。

まさにお上品な絵本とは一線を画した、子どもが本音で面白いと夢中になれる、伸びやかでど迫力の絵本になっていると思います。

安心できる終り方


仲間を得たちからたろうはその後町に来ますが、町はどこも戸を締め切って不穏な雰囲気。泣いている女の人を見つけて話をきくと、化物が毎年町へやってきて女をさらっていくのですが、今年は自分の番だと言うのです。最終的にちからたろう達は化物を退治してやり、女の人と幸せに暮らすのです。

ボリュームはあるけど面白いから飽きないと思いますよ


小学校の教科書にも出ているお話だそうです。なので若干字が多いしページ数も多いです。でも面白いので4歳位でも全然飽きないと思います。