文 ふるたたるひ
絵 たばたせいいち
発行 童心社
初版 1978/4/20
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 108
発行部数 不明
オススメ度 A
ダンプえんちょうやっつけた のあらすじ・内容
わらしこ保育園は小さな保育園で遊具のある屋外の遊び場がありません。でも大きな男性の園長先生『ダンプ園長』はこう言います。「街中がわらしこの運動場だよ。」言葉通り神社の石段のへりを滑り台代わりにしたりしています。
今日ダンプ園長は年長のくじら組の9人を連れてひなたやまへ遊びに来ました。そこで洞穴を見つけたこども達は海賊ごっこを思い立ちます。
ダンプえんちょうやっつけた の解説・感想
子どもが子どもらしい濃密な時間
いい絵本でしたよ。この読後感はなんなんでしょう。感動作というようなジャンルではありません。ほとんどが海賊ごっこの顛末です。でも読後は目頭が熱くなりました。こどもが本当にこどもらしいんですよ。これほどまでに濃密な充実した時間をかつての自分も過ごしていたのでしょう。もう忘れてしまいましたが。
ウチの小1の子も面白がって、こんなに長いのに自分で何度も読み返していました。
ダンプ園長は子ども本位
『ダンプ園長』いいです。場は与えるけどこどもの主体性を尊重して余計な事はしません。でもここぞという時にちょっとだけこどもが伸びるキッカケを与えてくれます。かと思うとガキ大将のように遊びの輪に入ってきてこども達の超えるべき壁のようにもなります。
怖がりのさくらちゃんが海賊ごっこを通してどんどん自分の殻を破っていく過程は痛快でした。まさに遊びを通して成長していくということですね。
遊びの中で考える
後半はダンプ園長の海賊とくじら組のこども達の海賊との対決になります。これがまた面白い。私は黒澤明監督の七人の侍を思い浮かべました。まさにこれは子ども版九人の侍。子ども達はダンプ園長に勝つために綿密な作戦を立てます。でも実際にはそううまくはいきません。そこで子ども達は臨機応変に対応を考えていきます。子どもが頭を使う事を覚えるのは遊びを通じてだと思うんですよね。理想的な遊び方をしていると思います。
映画を見ていて、自分もこの中の世界で活躍したいなって思ったことありませんか?この子達はまさにそういう経験をしてるんですよね。海賊対決という映画の中で活躍しているのです。羨ましい。
ちょっと長い
本には「自分で読むなら小学生から。読んでもらうなら3・4歳から」と書いてあります。でもちょっと長いんですよね。まあ飽きにくいとは思いますが…。考えた末に4歳からにしました。焦って早くから見せる必要はありませんよ。小学生も十分楽しめる濃い内容ですから。
この本が気に入ったら姉妹作『おしいれのぼうけん』もどうぞ。
コメント