文 ジーン・モデシット
絵 ロビン・スポワート
訳 もきかずこ
発行 冨山房
初版 1994/10/25
対象年齢 3歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

いいこってどんなこ? のあらすじ・内容


うさぎのバニー坊やがお母さんに尋ねます。「いい子って、どんな子?」

「泣かないのがいい子なの?」
「いい子って強い子のこと?」
「怒りんぼはいい子じゃないよね」
「もっと可愛い子なら嬉しかった?」

いろんな聞き方をするバニーですが、この会話は最後の質問「僕がどんな子だったら一番うれしい?」に対してのお母さんの返事で締めくくられます。

いいこってどんなこ? の解説・感想


そのままでいい


お母さんの返事は想像がつくと思います。『バニーは今のままで大好き。バニーらしくいてくれたらそれが一番』という内容の愛情のこもった言葉はバニーの自己肯定感を育むことでしょう。

でも、自分らしいって何だ?今の通りでいいと言うならわがまま放題でもいいのか?そんな風に思われる方もおられるかも知れません。もちろん親の愛というのはこどもを盲信することではないはずですよね。悪い方向へ道を間違えようと転んでしまおうとその都度起き上がって修正しながら前に進んでくれる事を信じることであり、その立ち上がる原動力になるのが親の愛情に基づいた自分を信じる心”自己肯定感”なのではないかと思います。

みんなに捧げられた絵本


冒頭の献辞は
わたしたち みんなに

となっています。作者自身を含めた世の全ての人にささげられているのです。この作者さんはどんな人にも母親がいるあるいはいたという当たり前だけど忘れがちな事実を、そしてみんなどこかで悩みながら生きているという事実も、心のどこかで常に認識されているような優しい人なのではないかとそんな風に思いました。

少ない文章は逆に考えさせれる


文は親子の会話内容のみで非常に少ないです。バニーの問いかけで2ページ、それに対するお母さんの返事で2ページ、それ位のペースです。余白が多いことがかえってそうさせるのか妙に一言一言が心に響きます。

自分の子どもにも


私のこどもも実際こんな風に『自分はいい子なの?』『自分はどうあるべき?』って考えることもあるのでしょうね。そういえば普段の会話にも…と気付かされることもありました。私も含めて、普段こどもにこんな言葉(『今のままでいい』)をかけてあげていないという親御さんには、この本が何かしらいいキッカケになるかと思います。

いい親ってどんな親?


子どもだけでなく、親にとってもいい絵本だと思います。毎日忙しい中でつい叱りすぎたりして後で自己嫌悪に陥ってしまったり、自分は子の親になる資格があるのかと落ち込んでしまったり。子どものためと思ってるはずだけどホントに子どものためになっているのかよくわからなくなってきた。私自身そうやって日々悩んでいます。そんな風に悩みすぎてしまった時に、この絵本は子どもが生まれた時の最初の気持ちに立ち返る助けになってくれるかも知れません。

色合いがちょっと残念な気が


絵はですね…優しい夢の中のようなタッチなんですけど、色がサイケデリックで暗い雰囲気なんですよ。(表紙を見ていただくとわかると思います。)そこが残念。それでちょっと引いちゃう人もいるんじゃないかな(汗)