文 矢野アケミ
絵 同上
発行 アリス館
初版 2014/9/20
対象年齢 2歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 24
発行部数 不明
オススメ度 B

ぐるぐるジュース のあらすじ・内容


(ページいっぱいに白い円が描かれています。)

まあるい形は魔法の形。いろいろな果物を入れてぐるぐるぐるぐる回しましょう。

はい!おいしいジュースのできあがり!

ぐるぐるジュース の解説・感想


読者がぐるぐるに参加する


これは楽しいぞお!(笑)

ぐるぐるえほんシリーズの『カレー』、『洗濯』につづく第三作めにあたります。ぐるぐるえほんシリーズは、基本的に全作が同じような構成でできており、白い丸に色んなものをぶち込んだらぐるぐる回して、ハイ完成!というシンプルなものです。本作ではいくつかの果物を入れていってジュースを作りますよ。

白い丸って何なの?ジューサーを上から見たの?…そんな事を考えてる大人!そんな些末な事はどうでもいいんです!白い丸はぐるぐるができる道具なんです。それでいいんです!(笑)

なんといっても、この絵本の楽しみは『ぐるぐる』に尽きます。材料を入れた白い丸をかき混ぜるように読者が指でぐるぐるするのです。しかけ絵本でも何でもありませんよ。ただページの上をなぞるようにぐるぐるするだけです。もっともっと回して!と本から催促がくるので指示通りもっともっと回します。そして次の指示でピタッと止めます。これだけのことですが2歳位の子どもなら嬉々としてやってくれそう。そして親子でやったらもっと楽しそう。

魅力的な擬音語・擬態語


もうひとつこの絵本の特徴は魅力的な擬音語・擬態語がたっぷり入っているということ。果物を切ったり皮をむいたり、ミルクを注いだりとかそういう音です。元々文章がかなり少ないというのにこの擬音語・擬態語の充実っぷりはすごいです。しかもいずれもリズミカルで語感がよく、美味しそうでもあり、こどもの興味をひく可能性大です。クライマックスの『ぐるぐる』の前座として読者の期待を高める申し分ない働きをしています。また子どもが言葉への興味を持つきっかけになっていくかも知れませんね。

全体的な展開も、テンポよく仕切られるような歯切れの良さがあって気持ちいいです。

シンプルながら、なんかもう全てが計算して作られてる感じがする完成度です。『ぐるぐる』という遊びの要素が入っていることで読む本としてどうなのか?という批判的なご意見ももしかしたらあるかも知れませんが、2歳位の子どもなら、親子で楽しい時間を過ごすこと、本が楽しいものだと子どもに思ってもらえるということ、これだけで十分素晴らしいじゃないかと私は思いました。