著 風路京輝
発行 フォレスト出版
初版 2017/5/
対象 小学生
わが子が「お友達」関係で悩まない本 の解説・感想
著者は38年間小学校の教師を続けてこられ、退職した後も風路教育研究所を設立して小学生の子どもを持つ親御さんの子育て支援をされている方だそうです。本書は著者のこれまでの経験を基に、小学生が学校生活で人間関係に悩まないように親としてできる事をまとめたものです。もっと端的に言うと、いじめたり、いじめられたりしないため、またはそういう事が起きても非常に悪い事態に発展させないために親としてできる事は何かを書かれています。
最初にお断りしておきますが、この本には”これさえやればもう大丈夫”とかいった画期的な回答が書かれているわけではありません。そもそもそんなものがあるはずはないでしょう。でも心構え・予備知識として知っておくという点でとても意味のある事が書いてある本だと思います。
この本の前半では”お友達に好かれる子どもの特徴”や逆に”いじめにつながりやすい因子”について説明し、そしてそうなるまたはそうならないために家庭でできる事は何かについて書かれています。そもそもいじめという行為が悪いのだから、いじめられないために教育するというのは何かスタート地点から違うのではないか?と思われる方もおられるかも知れません。でも私も含めて子どもの親はこの子が周りのみんなに愛される子どもになって欲しいと願っているはずです。また人間関係をうまくやっていくというのは社会に生きる人間として重要な能力ですから身につけて欲しいと願っているはずです。そういう願いに対し少しでもサポートになれば、という本なのだろうと思います。
第一章のタイトルは「みんながお友達になりたいと思うのはどんな子?」です。こうくると人の親としては読みたくなりますね。ここではいくつかの要素が挙げられています。面白いのは、そんな条件を満たした子どもではないにも関わらず一目置かれる子どもというのがいて、それはどんな子どもなのかという事も書いてありました。なるほどなって思いましたね。
後半に入ると、第三章では実際に子どもの事で悩みがある親御さんに向けて、対処法が書かれています。学校と家で全然違う子ども。学校に行きたいないという子ども。いじめをしてるかも知れない、またはされているかも知れない。そのようなケースでの対応方法について書かれています。
第四章は学校の先生と上手に付き合う方法についてです。そもそもこの本は、子どもに何らかの問題が発生した時に、学校が悪いとか、親が悪いとか、そういう決めつけをせずに、両者が一緒になって解決していくべきというスタンスになっています。そこを円滑にするためには、親と教師の間の人間関係の方も重要だということです。多分著者は今のお仕事の中で、親と教師の間のコミュニケーションがうまくいかない事が原因で子どもの問題がなかなか解決に向かわないという状況を何度も経験しているのではないでしょうか。そこをなるべくスムーズにするためのティップスが書かれており、一読しておいて損はないと思います。
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