著 藤代圭一
発行 旬報社
初版 2017/4/26
対象 幼児~小学生

子どものやる気を引き出す7つのしつもん、相手を変える習慣力 の解説・感想


著者は元々サッカースクール運営に携わっていた人でした。そのスクールは指導者も施設も充実しているはずなのに、何故か生徒が減っていきます。何故なのか考える内に『よい指導者とはなんなのか?』という疑問に行き当たります。そしてそんな中、マツダミヒロさんに出会い、子どものメンタルに着目した指導を確立していきます。現在はスポーツ選手のメンタルトレーニングのしごとに携わっているそうです。本文中にもサッカー指導における実例がよく出てきます。

最初に誤解しないでいただきたいことをご説明します。この本は、子どもを思い通りに動かすためのテクニックを紹介した本ではありません。タイトルが『7つの質問』となっているので誤解を招きやすいのですが、『7つの呪文』とでも呼ぶべき、この質問をすれば子どもは伸びるというようなものは書いてありません。そうではなくて、子どもの本当に気持ちを引き出し、その気持ちに沿って日々成長していけるようサポートをするための話し方・考え方を解説しています。なので結果として子どもが自分(親)の意向とは違う方向を望んでいる事がわかるというケースも十分あり得ます。そのケースについての言及も多少はありますが、自分(親)の意向に従わせるというものではありません。

本書の冒頭にある例が非常にわかりやすいのでご紹介します。少年サッカーの試合後、ある子どもにコーチが「なんであのときパスしたの?」と聞きます。こういう質問の仕方って自分でも日頃やっていませんか?これは最悪な質問の例なのです。一応whyの質問の形をとってはいますが、明らかに批判の意図が含まれているのがアリアリで、子どもはもう「すみませんでした」と言う他ないのです。これでは子どものやる気を削ぎ、さらに向上のためにどうしたらいいかと考える余裕も奪ってしまい、子どもの成長を阻害してしまうんですね。もちろんよい質問の仕方も書いてあります。確かにこれなら子どものためになると納得のいく質問です。著者はこれをあえてひらがなで『しつもん』と書いて区別しています。

第一章には、『しつもん』の3つの基本ルールが書いてあります。私なんかもうここからして大反省会です。間違ってたなぁ。子どもをこういう方向に導いてあげたいという自分の気持ち(価値観のようなもの)を親御さんなら多少はお持ちだと思います。でもそれはまず置いとかなくちゃいけません。子どもを見守る広い心を持たなくちゃいけません。この本では全般に渡って、子どもが変わるよりまず親の方が変わる事を求められます。でもこの本を読んですぐにハイ変わりましたという風にはいかないでしょう。少しづつ試行錯誤しながら身についていくのでしょう。子どものために頑張らなくちゃ。

この本と合わせて是非読んでいただきたい本があります。



この本も同じような方向性の本です。いわゆる子育て本ではないのですが、子育てにも十分応用できる内容です。『潜在意識』と『習慣化』というキーワードをベースに人間関係についてより根源的な説明がなされており、また実践にあたってのアドバイスもあり、一緒に読むとより理解が深まると思います。私のおすすめです。

この本の中で特に私に響いたのは、『相手を変えようとする意図はかえって相手を変えるための邪魔になる』『相手を変えるためにはまず自分が変わらなければいけない』という内容でした。正直、目からウロコでした。