作 土方久功
発行 福音館書店
初版 1970/10/1
対象年齢 3歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 28
発行部数 不明
オススメ度 A

ぶたぶたくんのおかいもの のあらすじ・内容


子豚のぶたぶたくんは、いつも「ぶたぶた」言ってるからぶたぶたくんと呼ばれています。お母さんさえ本当の名前を忘れて「ぶたぶたくん」と呼ぶのです。

ある日、ぶたぶたくんはお母さんから買い物を頼まれました。初めての一人での買い物です。

ぶたぶたくんのおかいもの の解説・感想


シュールで自由で楽しい絵本


なんなんだこのシュールな絵本は。でも読んでると子どもの心に引っかかりそうな細かい仕掛けが文にも絵にもいっぱい詰め込んであるのがわかる。子どもが自由な発想で書いたような内容だから読者の子どももナチュラルに喜びそう。こんな絵本を書いちゃう人ってどんな人?

これが私の最初の感想でした。

この表紙を見てくださいよ。これを見てすぐに子どもに見せたいと感じる大人はなかなかいないかも知れませんね(笑)すごくシュールでヘタウマな感じ。その印象は全編を通じて共通です。

この土方久功という方。1900年に恵まれた家系に生まれ、学習院から現在の芸大で学び、1929~1942年の間は南洋の島々の調査を行っていたという面白い経歴の方です。彫刻家であり民俗学者ということです。南洋の島々での経験が絵本作品に影響を与えている感じはありますね。あと本作を見ていると、知性と子どものような心を併せ持った人、という印象を持ちました。

出てくるキャラクターがみんな一風変わってる


さて本の内容ですが…。ぶたぶたくんはパン屋さんと八百屋さんとお菓子屋さんに行きます。どのお店の人もどこか可笑しい一風変わった人達です。ニコニコしてる人もいれば、すごく早口、逆にすごくゆっくりしゃべる人もいる。パン屋のご主人は一人で買い物をするぶたぶたくんに感心して、かおつきパンの上等パンをかごに入れてくれます。かおつきパンは顔の形をした変なパンです。

ぶたぶたくんの他に、からすのかあこちゃんとこぐまちゃんも一人で買い物に出てきます。ぶたぶたくんが「ぶたぶた」言うように、他の2匹もそれぞれ口癖があります。3匹で歩くとそれは楽しくてリズミカルで賑やかですよ。もう笑っちゃいますよ。この作者さん絶対この絵本で遊んでるでしょ。自由すぎる(笑)

これでもかと色んな事が詰め込んである


色んなモノ・コトが描かれています。色の種類、野菜の種類、味の種類、左右とまっすぐ、速い遅いなど。絵を見てても山や雲や木、魚や鳥、飛行機やヘリコプターなど。お話が終わった最後には買い物で回った道の周辺地図が見開き2ページで描かれています。散歩の途中で見た魚や山などがこの地図に反映されています。短い中に物事がごった煮のように詰め込まれている感じですね。

ユーモアがあって読んで楽しく、そして子どもの好奇心を揺さぶる仕掛けが盛り込まれたすごい本だと思います。