作 レオ・レオーニ
訳 藤田圭雄
発行 サンリード
初版 1967//
対象年齢 2歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 40
発行部数 不明
オススメ度 B
あおくんときいろちゃん のあらすじ・内容
あおくんはパパとママと3人暮らし。友達がいっぱいいますが、中でもきいろちゃんが一番の仲良しです。
ある日あおくんはママにお留守番を頼まれます。それなのにあおくんは家を飛び出しきいろちゃんと遊ぼうと街を探し回ります。
ようやくきいろちゃんを見つけ、喜んだ二人は合わさってみどりになりました。
いっぱい遊んだ二人はみどりのまま家に帰りますが、あおくんの家でもきいろちゃんの家でもみどりはウチの子じゃないと言われてしまいます。
あおくんときいろちゃん の解説・感想
あおくんときいろちゃんの描写は表紙の通り、紙をちぎったような丸い形と色だけです。他に登場する子ども達も色が違うだけで同じような形。大人は少し長く大きくなった形になっています。家や学校、公園さえ同じような描写の仕方。ビジュアルに関しては誰でも作れそうな絵本です。
それではストーリーの方はどうかと言いますと、これまた子どもが作ったような感じのお話なんです。その後みどり(あおくんときいろちゃんが一緒になったもの)はなんとか偶然にあおときいろに戻り、家へ帰ります。途中合間合間に遊びの場面などが挟まれます。大人が面白い話を作ろうと練りに練ったというよりも、子どもがその場面ごとにその都度考えていったような流れでお話は進みます。強いて言うなら青と黄色を合わせると緑になることが一つのポイントであり、これを知らなければこの話は作れないというだけです。
実際このお話は作者が訪ねてきたお孫さん達にせがまれて偶然できたものなのだそうです。色のついた丸をスケッチブックに書いて、それをお孫さん達と膨らませていった結果なのかも知れませんね。いや、まさにそんな感じの絵本です。
だからこの作品のいいところは読者の子どもと同じ目線まで絵本の方から近づいているということだと思います。子どもも親しみやすいでしょう。それに実際のところ子どもと一緒に自分の家でもこんな絵本が作れそうな気がしてくると思いますよ。丸が書ければ十分なんですもん。ホントに作ってみたらいいですよ。楽しい親子の時間になるんじゃないかな。
最終的にはは無事に家に迎えられますし、みどりになった秘密もパパママが理解してくれて、あおくんときいろちゃんの両親同士もみどりになってみたりします。微笑ましい家族の姿がいいですし、子どももホッと安心できると思います。
また普段の生活の中で読者の子どもが頭にある伝えたい事を、親にうまく伝えられなくてモヤモヤを抱えてしまうことって結構あると思うんです。わかりやすくうまく説明するっていうことは小さい子どもにはまだ難しいですから。本書ではあおくんときいろちゃんの事情を大人も最終的に理解してくれて、読者もすべてがスッキリ納得いく終わり方になっています。この点、普段モヤモヤを抱えている子どもはカタルシスを感じるかもしれないなと思いました。
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