作 ロバート・ブライト
訳 しみずまさこ
発行 ほるぷ出版
初版 1975/10/25
対象年齢 2歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

あかいかさ のあらすじ・内容


女の子が赤い傘を持ってでかけました。

でもお天気がいいです。「赤い傘 持ってくるんじゃなかった」

急に風が吹いて雲が出てきました。とうとうも降り始めました。女の子は傘をさします。

そこへ子犬が1匹。「入れて。」さらに子猫2匹もきました。

だんだん動物が増えていきます。赤い傘もそれにつれてみんなが入れる位大きくなっていきます。

みんなで雨の歌を歌いましょう。

あかいかさ の解説・感想


この絵本は判型が小さいんです。17×13cmですからね。お出かけにも楽々持っていけるサイズです。絵もお話もすごくシンプルですし、あらゆる面で『小品』。(もちろんいい意味で。)親しみやすくてお子さんに可愛がってもらえそうな絵本です。

鉛筆とペンで書かれているのかな?基本的にモノクロの線画で、傘と地面のキノコ一つだけが赤く着色されています。赤い傘はわかるけど、なぜキノコまで?と思いますよね。実はキノコは虫たちにとっての赤い傘なのです。う~ん芸が細かい。

お話はホントに単純です。みんなで雨の歌を歌った後、雨があがり、今度は来た時と逆の順番で動物たちが帰っていきます。そして最後に女の子も帰宅。「やっぱり傘持ってってよかった」となるわけです。

動物たちは、子犬、子猫、ニワトリ、子ウサギ、子羊、ヤギ、子ブタに子ギツネ、そしてクマさん。こんなにたくさんの種類が登場します。それらが赤い傘の下に集まります。何となく『てぶくろ』に似た話ですよね。でも『てぶくろ』みたいにギュウギュウ詰めにはなりません。赤い傘が大きくなっていくので、軒下にみんなで雨宿りしている位の間隔です。だからみんなで歌も歌えるんです。ほんの一時にたまたま赤い傘に集まった動物たちとのわずかな時間の共有、ただそれだけの事がじんわりと心を温めてくれるような気がします。

そしてその後、動物たちは一匹また一匹と走り去っていきます。一緒に歌まで歌ったこともなかったかのようにホントに淡々と散り散りになっていきます。女の子も当然とばかりにさよならと動物たちの背中に手を振るだけ。私はここがなんかいいんです。『サヨナラだけが人生だ』みたいな感じかな。それもなんか微妙に違うような。うまく言えませんが…(汗)。『オオカミくんはピアニスト』と近いような感慨を持ちました。だからこそますます傘の下の短時間が温かく感じられるのかも知れません。すごく可愛い話なんだけどそれだけじゃない気がします。

因みに動物たちはそれぞれ種類ごとに匹数が違っていて、数の概念を示すようにもなっています。