作 ビル・コッター
発行 サンクチュアリ出版
初版 2017/9/1
対象年齢 2歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B

ぜったいにおしちゃダメ? のあらすじ・内容


ページに赤い押しボタンがひとつ。

ラリー(この本に唯一登場するモンスターのキャラクター)は「このボタンを押しちゃダメ」「このボタンのことを考えてもダメ」と言います。

そう言われるとなおさら気になりますね。押したらどうなるんだろう。ラリー自身も気になります。そして…結局「押しちゃおう!」となります。

ボタンを押すとどうなるのでしょう。読者がボタンを押したりその他の動作をすることでその動作による結果が次のページに現れる『遊べるインタラクティブ絵本』です。

ぜったいにおしちゃダメ? の解説・感想


小さい子どもに人気のインタラクティブ絵本です。インタラクティブ絵本って何?という方もおられると思うので、本書の内容をちょっとだけご紹介しましょう。最初にボタンを押して次のページを開くと、今まで紫だったラリーの体色が派手な黄色に変わっています。「ああ!きいろくなっちゃった!」ラリーは慌てます。そこで元に戻そうともう一度ボタンを押すようにラリーは読者に言いますが、実は押しても元には戻らずさらなる面白い変化がラリーを待っています。夢中になる子は相当夢中になると思います。

数あるインタラクティブ絵本の中でもこの本独自のポイントは、最初にあえて「押すな」と言うことです。「考えるな」とまで言います。でもそう言われると押したくなる、考えてしまうというのが人情というものですよね(笑)。そういう読者の子どもの気持ちをうまく利用するいたずらっぽい作戦がこの本にはあります。子ども達はボタンを押したらどうなるのか、どうしても気になってしまうことでしょう。

ただ、この本ではその作戦がある一点においていい形で機能していないようにも思われます。「押すな」「考えるな」とまで言っていますし、しかも序盤でそれを何度か繰り返して念押しもしています。(ここがちょっとやりすぎのような気がする。)そこまでやってしまったら、いざボタンを押させようとするにはそれなりの納得できる持っていき方が必要でしょう。その持っていき方は一応用意はされているのですが、どうも納得感が不十分な気がします。だから本来のルールだった事をを守らないことについてモヤモヤするかも知れませんし、最初にボタンを押す場面では本当に押していいのか迷う読者もあるんじゃないかな。最初に納得できなかったらそれ以後はどうしても面白さが若干減ってしまうことでしょう。この点に関しては読み聞かせる親御さんがまずは先に読んでみて、実際に読み聞かせる時はお子さんの様子を見ながら何かしら導いてあげられるようにした方がいいかと思います。

今までいくつかのインタラクティブ絵本を紹介してきましたが、正直なところ私の個人的な感想としては、他の本の方が比較的良かったかな。その理由としては先に書いたように、最初にボタンを押させる導入の部分に若干の疑問が残る可能性があること。それと他の本に比べると要求される動作のバリエーションが少ないこと。

知っておいていただいた方がいいなという事を書いていたら何だか批判的な解説のようになってしまいましたが、決してそういう意図ではありません。多くのお子さんに夢中になってもらえる本だと思いますよ。それにあんまり本に馴染みがないお子さんでも楽しめて、本を好きになってもらえるキッカケにもなり得ると思います。ただこの手の本は年齢が進むと最初は楽しめても手の内がわかった後は二回三回と繰り返し楽しむことができなくなってきますから、なるべく早めの時期に読み聞かせることをおすすめします。

今までご紹介したインタラクティブ絵本です。→ タグ『インタラクティブ絵本