文 シャーロット・ゾロトウ
絵 アーノルド・ローベル
訳 みらいなな
発行 童話屋
初版 2008/3/11
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B
嫌な雨が降る暗い朝です。パパは不機嫌な表情でママに行ってきますのキスをしないで仕事に出かけていきました。
ママは起きてきたジョナサンに、昨日と同じシャツを着ているからと「やめてちょうだい!」ってやつあたり。
面白くないジョナサンは姉のサリーに「ぐずぐずしてると遅刻しちゃうよ!」と意地悪なおせっかい。
プンプンしたサリーは学校で友達のマージョリーに「そのレインコート、男の子みたいで変!」
マージョリーは家に帰って、人形で遊んでいる弟のエディに「女の子みたい」と難癖。
エディはむしゃくしゃして犬のバジーをベッドから追い出しました。
しかしバジーは全然へこたれません。エディに飛びかかって顔をペロペロ舐めました。エディは笑い転げてすっかり機嫌が直ってしまいました。
そこへマージョリーが鉛筆を探して部屋にやってきますが…
前半は上でご紹介した通り不機嫌の連鎖、後半は予想される通り、仲直りの連鎖となります。前半とはまったく逆の流れで仲直りがつながっていってハッピーエンドとなります。
お天気が悪いことに端を発して不機嫌が広がっていくのをこうして客観的に見るとバカバカしいと感じますけど、現実の社会でもこういう事は多いでしょうね。当然子どもの世界でも同じようなことは起こっているでしょう。幼稚園・保育園も例外ではないはず。そういう意味でも対象年齢を4歳からとしてみました。
この文が後半の仲直りの過程で何回か登場します。私個人としては、読者のお子さん達に素直に謝るということをこの本から学んでいただけたらと思います。謝ること、いや『素直に』謝ることは難しいです。客観的に自分の非をみつめなければできません。でもそれができたら人間関係はより円滑になりやすいでしょうし、世の中ももっと良くなるかも知れません。
そしてそういう社会的な意味の他にも、自分にとっても発想・視点の大転換だと思うのです。自分中心からより客観的な視点への転換ができるかどうかは、お子さんがどのような人生を送るかに大きく関わってくるはず。いくら「謝れ、謝れ」と口で言ってもこの視点の転換の能力は身につかないでしょう。意外とこういう絵本がきっかけになる事もあるんじゃないでしょうか。
この絵本のストーリーは教訓を含む寓話と言えるかと思います。でも寓話だから面白くなくてもいいかというとそうじゃないでしょう。肝心の子どもにとってこの絵本の面白さはどういうところにあるかという点ですが、それは前半の重苦しい雰囲気から打って変わって後半どんどん好転していくところの痛快さにあると思います。ラストはホッとして本を閉じることができるでしょう。ただそこへ行くまでの前半は(表紙にあるように)登場人物はみんな目が吊り上がったようになってたりして、暗い雰囲気で子どもにとてはちっとも面白くないかと思います。そこを何とか乗り越えられるかが一つのポイントかも知れません。
原題は『The Quarreling Book』。『Quarreling』は不和とか口論とかの意味なので邦題とはまったくの逆の付け方なんですね。原題は大した意味のない仲違いの空虚さ(人間って愚かだね、こんな事くだらないよ、みたいな)に着目し、邦題は素直になった方がいいという『道徳』『人の道』に着目しているようにも思います。何となくアメリカと日本の感覚の違いを感じなくもないです。
この本は出版が2008年になっていますが、原書は1963年に出版されています。古い本です。
この作品の他にもシャーロット・ゾロトウさんの絵本をご紹介しています。 → 『ねえさんといもうと』 こちらも日常のちょっとした気持ちの変化を描いていますが、本作とはまったく印象が違って美しくかわいい絵本です。
絵 アーノルド・ローベル
訳 みらいなな
発行 童話屋
初版 2008/3/11
対象年齢 4歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 32
発行部数 不明
オススメ度 B
なかなおり のあらすじ・内容
嫌な雨が降る暗い朝です。パパは不機嫌な表情でママに行ってきますのキスをしないで仕事に出かけていきました。
ママは起きてきたジョナサンに、昨日と同じシャツを着ているからと「やめてちょうだい!」ってやつあたり。
面白くないジョナサンは姉のサリーに「ぐずぐずしてると遅刻しちゃうよ!」と意地悪なおせっかい。
プンプンしたサリーは学校で友達のマージョリーに「そのレインコート、男の子みたいで変!」
マージョリーは家に帰って、人形で遊んでいる弟のエディに「女の子みたい」と難癖。
エディはむしゃくしゃして犬のバジーをベッドから追い出しました。
しかしバジーは全然へこたれません。エディに飛びかかって顔をペロペロ舐めました。エディは笑い転げてすっかり機嫌が直ってしまいました。
そこへマージョリーが鉛筆を探して部屋にやってきますが…
なかなおり の解説・感想
前半は不機嫌の連鎖、後半は仲直りの連鎖
前半は上でご紹介した通り不機嫌の連鎖、後半は予想される通り、仲直りの連鎖となります。前半とはまったく逆の流れで仲直りがつながっていってハッピーエンドとなります。
不機嫌の連鎖は現実にもよくあるはず
お天気が悪いことに端を発して不機嫌が広がっていくのをこうして客観的に見るとバカバカしいと感じますけど、現実の社会でもこういう事は多いでしょうね。当然子どもの世界でも同じようなことは起こっているでしょう。幼稚園・保育園も例外ではないはず。そういう意味でも対象年齢を4歳からとしてみました。
『謝る』ことを学ぶ
あやまると いいきもちに なりました。
この文が後半の仲直りの過程で何回か登場します。私個人としては、読者のお子さん達に素直に謝るということをこの本から学んでいただけたらと思います。謝ること、いや『素直に』謝ることは難しいです。客観的に自分の非をみつめなければできません。でもそれができたら人間関係はより円滑になりやすいでしょうし、世の中ももっと良くなるかも知れません。
視点の転換は大事な能力
そしてそういう社会的な意味の他にも、自分にとっても発想・視点の大転換だと思うのです。自分中心からより客観的な視点への転換ができるかどうかは、お子さんがどのような人生を送るかに大きく関わってくるはず。いくら「謝れ、謝れ」と口で言ってもこの視点の転換の能力は身につかないでしょう。意外とこういう絵本がきっかけになる事もあるんじゃないでしょうか。
子どもにとってのこの本の面白さとは
この絵本のストーリーは教訓を含む寓話と言えるかと思います。でも寓話だから面白くなくてもいいかというとそうじゃないでしょう。肝心の子どもにとってこの絵本の面白さはどういうところにあるかという点ですが、それは前半の重苦しい雰囲気から打って変わって後半どんどん好転していくところの痛快さにあると思います。ラストはホッとして本を閉じることができるでしょう。ただそこへ行くまでの前半は(表紙にあるように)登場人物はみんな目が吊り上がったようになってたりして、暗い雰囲気で子どもにとてはちっとも面白くないかと思います。そこを何とか乗り越えられるかが一つのポイントかも知れません。
日米のとらえ方の違い
原題は『The Quarreling Book』。『Quarreling』は不和とか口論とかの意味なので邦題とはまったくの逆の付け方なんですね。原題は大した意味のない仲違いの空虚さ(人間って愚かだね、こんな事くだらないよ、みたいな)に着目し、邦題は素直になった方がいいという『道徳』『人の道』に着目しているようにも思います。何となくアメリカと日本の感覚の違いを感じなくもないです。
この本は出版が2008年になっていますが、原書は1963年に出版されています。古い本です。
この作品の他にもシャーロット・ゾロトウさんの絵本をご紹介しています。 → 『ねえさんといもうと』 こちらも日常のちょっとした気持ちの変化を描いていますが、本作とはまったく印象が違って美しくかわいい絵本です。
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