文 中脇初枝
絵 酒井駒子
発行 福音館書店
初版 2002/7/1
対象年齢 1歳から
文字の量 かなり少なめ
ページ数 20
発行部数 不明
オススメ度 B
こりゃ まてまて のあらすじ・内容
まだよちよち歩きの子どもが一人。舞うちょうちょを見つけました。「こりゃ まてまて」
追いかけるとちょうちょは高く飛び去っていきます。「ひらひらひら」
今度は地面にトカゲを見つけました。「こりゃ まてまて」
触ろうとするとトカゲは石の陰に逃げ去ってしまいます。「しゅるしゅるしゅる」
数羽の鳩が地面にいるのを見つけました。「こりゃ まてまて」
近寄っていくと鳩は飛び去ってしまいます。「ばさばさばさ」
猫が二匹ペンチで休んでいます。「こりゃ まてまて」
近づくと猫は逃げ去ってしまいます。「みゃあみゃあみゃあ」
そして今度は…
こりゃ まてまて の解説・感想
どこか広い公園にお父さんが子どもを連れてきたのでしょう。タンポポが咲いているので春のようです。お天気も良さそう。小さい子どもは見るものすべてが珍しくて好奇心の固まりになっているのでしょう。特に動く生き物に興味津々のようです。可愛いですね。子どもを散歩に連れて行く親御さんにとってはあるあるでしょうね。
「こりゃ まてまて」という言葉、すごくいいと思いません?。子どもの好奇心がそのままストレートに表れている気がします。遊び心もありますしね。「こりゃ まてまて」を子どもが覚えたら日常生活の色んな場面で使えそうです。子どもとのスキンシップに一役買いそうです。「まてまて」が好きになった子には『まてまてタクシー』という本もありますよ。こちらは2歳位の子どもに楽しんでいただける絵本です。
そして「こりゃ まてまて」と対になる生き物たちの動きの擬態語も楽しいです。子どもにとっては、トカゲの素早い逃げ足や鳩が飛び立つ激しい動きも新鮮な驚きの対象なのでしょう。是非、絵本だけに頼らずに子どもを外へ連れ出してあげて欲しいと思います。
対象年齢1歳からと言っても1歳になったばかりという位だとまだこの絵本は早い子も多いかも知れません。ちょうどこの絵本に出てくる子どものようによちよち歩いてお外で遊べる位になったらいいでしょう。
お話の閉じ方がすばらしいです。
子どもの後ろから大きい腕が伸びて抱えあげます。「こりゃ まてまて」
お父さんが子どもを肩車します。「さあいこう」
「こりゃ まてまて」をされる側にたった思わぬ立場の変化。お父さんの肩車による安心感と楽しい気分。これはもう読者の子どもも安心するとともに、肩車をして欲しくなっちゃうでしょうね。
本作の文章は一つ一つのフォントがあえてちょっと斜めにしてあったりして不安定な感じなんです。実は表紙のタイトルもそう。それが妙にリアルで面白かったです。
私は酒井駒子さんの絵が大好きです。本作も美しく、また小さく大事なものをしっかり見つめるような筆致が素敵でした。
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