作 ジェフ・ブラウン
絵 トミー・ウンゲラー
訳 さくまゆみこ
発行 あすなろ書房
初版 1998/12/25
対象年齢 小学校低学年~中学年
ページ数 80
ラムチョップさん一家はお父さん、お母さん、スタンレー、アーサーの四人家族です。
ある朝アーサーの叫び声が子ども部屋から聞こえてきました。お父さん、お母さんが行ってみると、絵や写真などを貼る掲示板がベッドで眠るスタンレーの上に落ちているではありませんか。すぐにどけてみると、なんとスタンレーはまっ平らにペチャンコになっていました。
お医者さんに連れていきましたが、しばらく様子を見るしかないとの事。身体測定をやってもらうと、身長122cm、横幅30cm,厚さ1.3cmでした。
ペチャンコになったスタンレーはいろんな事ができました。閉じたドアの下をすり抜けたり、お母さんが排水溝に落とした指輪を隙間から入り込んで探したり。なんと大きな封筒にスタンレーを入れて航空郵便に出し、カリフォルニアまで遊びに行ったりしました。
アーサーはスタンレーが羨ましくて仕方なく自分もペチャンコになろうと体に本をいっぱい乗っけてみたりました。お父さん、お母さんが自分の事を気にしてくれなくなった気がして寂しい想いもしていました。
しかしスタンレーもいい事ばかりでもありません。アーサーのために凧になったスタンレーでしたが、アーサーが目を離したすきに、木に引っかかって身動きできなくなってしまいました。
そんなある日、近くの美術館に泥棒が入ります。そのニュースを聞いたスタンレーは自分の体を利用して泥棒をつかまえる作戦を考えます。
子どもがペチャンコになってしまうという発想がとても楽しい本です。もちろんペチャンコになっても死にもしなければ、苦しんだりもしません。ただその体の薄さ故に便利だったり、良くないことが起きたりします。その設定だけでもうワクワクしますよね。普段あまり本に馴染みがない子どもでもこれは楽しんで読めるかも知れませんよ。
朝起きたらペチャンコだったなんてカフカの『変身』のようです。子どもがこんな事になったら親はパニックだろうし、本人だって落ち着いてはいられないでしょうけど、そこはコミカルな物語です。お母さんはスタンレーを見た後「とにかく朝ごはんをたべてしまいましょう」だし(汗)、病院に連れてはいくものの、お医者さんは様子を見るしかないというので、とりあえず服のサイズを直すために体を計測してもらいます。それでいいの?って感じがしますけど(笑)。本人もだんだん楽しくなってきて、ペチャンコライフを謳歌します。
ペチャンコになった事で色んなエピソードが描かれるのですが、その中でも一番面白いのが航空郵便で旅行に行く場面かなと思います。お弁当に薄く作ったサンドイッチと薄い容器に入れた牛乳も封筒の中に入れてもらうんです。封筒が大きすぎてそのままではポストに入らないので折り曲げて入れます。ステンレーは折り曲げても大丈夫。ポストの中でまた体を伸ばせばいいのです。ポストに入れた後、大丈夫?と問いかけるとポストの中のスタンレーから大丈夫という返事が来ます。こういうのは子ども自身やってみたいと思うんじゃないかな。アーサーが羨ましがるのもわかる気がしますね。
スタンレーは有名になり人々にからかわれるようになったりして、ペチャンコでいるのが嫌になります。そこで弟のアーサーが大活躍。アーサーのアイデアで最後にはスタンレーは元の体に戻れますよ。この戻り方がまた実に面白いです。これまた子どもが自身でやってみたいと思うことでしょうね。(無理だけど。笑)それにちょっと拗ね気味だったアーサーが両親に褒められて、家族仲良くハッピーエンドというのもとってもいい終わり方だと思います。
作中にほんの数ヶ所なんですけど、とてもキレイとは言えない言葉遣いのセリフがあるんですね。例えばアーサーのこんなセリフ。
この後、アーサーは言葉遣いが悪い事をお父さんに叱られるのですが、そういうセリフ自体子どもに聞かせたなくないという親御さんがおられるかも知れないので一応注意喚起だけしておきます。でもこの作品、公文で国語の教材に使われたこともあるみたいですね。amazonのレビューにそう書いてありました。若干コミカルな表現もありますけど全体的にはごくごく普通の丁寧なわかりやすい文章です。因みに漢字が多く使われています、すべての漢字にふり仮名がふってあるわけではありません。『子』とか『一日』とか『中』『月』『見つかる』とかはふり仮名がありません。『青』はふり仮名がないけど『黄色』はあります。なんだか基準がよくわかりませんけど、一人で読むなら一年生の漢字位を習ってからの方がいいかも知れませんね。
ラスト近くでスタンレーは人々にからかわれたり、友だちが遊んでくれなくなったりします。その時お母さんは見た目が違うから遊ばないんて、と憤慨します。それだけでなく、信じている神様や肌の色が違うからと言って差別するなんて恥ずかしいことだと言い切ります。差別やいじめに関しても若干切り込んでいるのです。
挿絵はほとんど見開き2ページ辺りに1つ位。ない場合もありますが、大体その位の比率です。文字だけだととっつきにく子どもでも比較的視親しみやすいと思います。絵を書いているのはトミー・ウンゲラーさんです。コミカルでシニカルな独特の絵柄です。
実はこの作品はシリーズになっているらしく、スタンレーがペチャンコ以外にも色んな境遇になるらしいのですが、調べてみると残念ながら本書以外は日本では翻訳されていないようでした。読んでみたいな。
この本をベースにしたフラットスタンレープロジェクトなるものもあるらしいです。こちらとこちらの記事で知りました。なかなか面白い取り組みです。こんなプロジェクトに世界のあちこちで参加するなんて、この本は世界中の子ども達に愛されているのでしょうね。
絵 トミー・ウンゲラー
訳 さくまゆみこ
発行 あすなろ書房
初版 1998/12/25
対象年齢 小学校低学年~中学年
ページ数 80
ぺちゃんこスタンレー のあらすじ・内容
ラムチョップさん一家はお父さん、お母さん、スタンレー、アーサーの四人家族です。
ある朝アーサーの叫び声が子ども部屋から聞こえてきました。お父さん、お母さんが行ってみると、絵や写真などを貼る掲示板がベッドで眠るスタンレーの上に落ちているではありませんか。すぐにどけてみると、なんとスタンレーはまっ平らにペチャンコになっていました。
お医者さんに連れていきましたが、しばらく様子を見るしかないとの事。身体測定をやってもらうと、身長122cm、横幅30cm,厚さ1.3cmでした。
ペチャンコになったスタンレーはいろんな事ができました。閉じたドアの下をすり抜けたり、お母さんが排水溝に落とした指輪を隙間から入り込んで探したり。なんと大きな封筒にスタンレーを入れて航空郵便に出し、カリフォルニアまで遊びに行ったりしました。
アーサーはスタンレーが羨ましくて仕方なく自分もペチャンコになろうと体に本をいっぱい乗っけてみたりました。お父さん、お母さんが自分の事を気にしてくれなくなった気がして寂しい想いもしていました。
しかしスタンレーもいい事ばかりでもありません。アーサーのために凧になったスタンレーでしたが、アーサーが目を離したすきに、木に引っかかって身動きできなくなってしまいました。
そんなある日、近くの美術館に泥棒が入ります。そのニュースを聞いたスタンレーは自分の体を利用して泥棒をつかまえる作戦を考えます。
ぺちゃんこスタンレー の解説・感想
子どもがペチャンコになってしまうという発想がとても楽しい本です。もちろんペチャンコになっても死にもしなければ、苦しんだりもしません。ただその体の薄さ故に便利だったり、良くないことが起きたりします。その設定だけでもうワクワクしますよね。普段あまり本に馴染みがない子どもでもこれは楽しんで読めるかも知れませんよ。
朝起きたらペチャンコだったなんてカフカの『変身』のようです。子どもがこんな事になったら親はパニックだろうし、本人だって落ち着いてはいられないでしょうけど、そこはコミカルな物語です。お母さんはスタンレーを見た後「とにかく朝ごはんをたべてしまいましょう」だし(汗)、病院に連れてはいくものの、お医者さんは様子を見るしかないというので、とりあえず服のサイズを直すために体を計測してもらいます。それでいいの?って感じがしますけど(笑)。本人もだんだん楽しくなってきて、ペチャンコライフを謳歌します。
ペチャンコになった事で色んなエピソードが描かれるのですが、その中でも一番面白いのが航空郵便で旅行に行く場面かなと思います。お弁当に薄く作ったサンドイッチと薄い容器に入れた牛乳も封筒の中に入れてもらうんです。封筒が大きすぎてそのままではポストに入らないので折り曲げて入れます。ステンレーは折り曲げても大丈夫。ポストの中でまた体を伸ばせばいいのです。ポストに入れた後、大丈夫?と問いかけるとポストの中のスタンレーから大丈夫という返事が来ます。こういうのは子ども自身やってみたいと思うんじゃないかな。アーサーが羨ましがるのもわかる気がしますね。
スタンレーは有名になり人々にからかわれるようになったりして、ペチャンコでいるのが嫌になります。そこで弟のアーサーが大活躍。アーサーのアイデアで最後にはスタンレーは元の体に戻れますよ。この戻り方がまた実に面白いです。これまた子どもが自身でやってみたいと思うことでしょうね。(無理だけど。笑)それにちょっと拗ね気味だったアーサーが両親に褒められて、家族仲良くハッピーエンドというのもとってもいい終わり方だと思います。
作中にほんの数ヶ所なんですけど、とてもキレイとは言えない言葉遣いのセリフがあるんですね。例えばアーサーのこんなセリフ。
うわあ、すっげえ! お父さーん、お母さーん、ぶったまげたことになってるよー!
この後、アーサーは言葉遣いが悪い事をお父さんに叱られるのですが、そういうセリフ自体子どもに聞かせたなくないという親御さんがおられるかも知れないので一応注意喚起だけしておきます。でもこの作品、公文で国語の教材に使われたこともあるみたいですね。amazonのレビューにそう書いてありました。若干コミカルな表現もありますけど全体的にはごくごく普通の丁寧なわかりやすい文章です。因みに漢字が多く使われています、すべての漢字にふり仮名がふってあるわけではありません。『子』とか『一日』とか『中』『月』『見つかる』とかはふり仮名がありません。『青』はふり仮名がないけど『黄色』はあります。なんだか基準がよくわかりませんけど、一人で読むなら一年生の漢字位を習ってからの方がいいかも知れませんね。
ラスト近くでスタンレーは人々にからかわれたり、友だちが遊んでくれなくなったりします。その時お母さんは見た目が違うから遊ばないんて、と憤慨します。それだけでなく、信じている神様や肌の色が違うからと言って差別するなんて恥ずかしいことだと言い切ります。差別やいじめに関しても若干切り込んでいるのです。
挿絵はほとんど見開き2ページ辺りに1つ位。ない場合もありますが、大体その位の比率です。文字だけだととっつきにく子どもでも比較的視親しみやすいと思います。絵を書いているのはトミー・ウンゲラーさんです。コミカルでシニカルな独特の絵柄です。
実はこの作品はシリーズになっているらしく、スタンレーがペチャンコ以外にも色んな境遇になるらしいのですが、調べてみると残念ながら本書以外は日本では翻訳されていないようでした。読んでみたいな。
この本をベースにしたフラットスタンレープロジェクトなるものもあるらしいです。こちらとこちらの記事で知りました。なかなか面白い取り組みです。こんなプロジェクトに世界のあちこちで参加するなんて、この本は世界中の子ども達に愛されているのでしょうね。
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