文 ビアトリス・シェンク・ドゥ・レニア
絵 ベニ・モントレソール
訳 わたなべしげお
発行 童話館出版
初版 1974/11/5(冨山房の出版時)
対象年齢 5歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 46
発行部数 不明
オススメ度 B
王様とお妃様が日曜のお茶会に僕を招待してくれました。
僕が「友達連れてよろしいですか」と尋ねると「私達の友達の友達は大歓迎じゃ」と快く許してくれました。
そうして連れていったのはキリンです。王様とお妃様はちょっと驚きながらも歓迎してくれて、3人と1匹でお茶を楽しみました。
王様とお妃様が月曜の晩ごはんでシチューを一緒にと僕を誘ってくれました。
僕が「友達連れてよろしいですか」と尋ねると「私達の友達の友達は大歓迎じゃ」と快く許してくれました。
今度はカバを連れていきました。王様とお妃様はカバの様子にちょっと困りながらも歓迎してくれて、晩ごはんをきれいさっぱり全部いただきました。
王様とお妃様が火曜のお昼に僕を誘ってくれました。
僕が「友達連れてよろしいですか」と尋ねると「できるだけ大勢連れていらっしゃい」と快く許してくれました。
今度は何匹ものサルを連れていきました。サル達が天井にぶら下がったり床の上に座ったり大騒ぎでしたが、何にも残さず全部いただきました。
また王様とお妃様から僕にお誘いがありました。
この絵本は順場に動物が登場する繰り返しばかりで物語と言えるような物語がなくて、大人から見るとあんまり面白くないかも知れませんが、子どもの感覚で楽しめるようになってるんです。そのあたり、ご紹介していきますね。
まず、動物がいっぱい出てくるところがいいんです。上のあらすじではキリンとカバとサルを挙げましたが、その後もゾウ、ライオン、オットセイと続きます。色んな種類が出てくるだけでも楽しいのに、それぞれの動物らしいちょっとしたエピソードが描かれています。サルなんかもう暴れまわってシッチャカメッチャカ。ゾウには座ってもらえるところがなくて、逆に王様とお妃様と僕が3人でゾウの背中に座ることにします。そんな様子を見るだけでも楽しいでしょう。”僕”はお城に行くときに蝶ネクタイを結んでるんですが、動物たちもそれぞれちょっとおめかししてるみたい。そこも面白いです。
また、この動物たちの登場には一定のリズムがあるんです。まず王様とお妃様の絵があって、そこで”僕”がお誘いを受けるところとお友達を連れて行くことを承知してもらうところが見開きの左ページに描かれて、右ページには文章が1行のみ。例えば「そこで ぼくは ともだち つれて…」とだけ書かれています。そうしてページをめくると見開き2ページに渡って動物が登場する場面がドーンと描かれます。次は何かな?と引っ張っておいて、ドーンと驚かせるんですね。楽しい演出です。(ここは読み聞かせる時も今度は何かな~ってちょっと引っ張ってからドーンとめくってあげたらお子さんに喜んでもらえるかも。)それが繰り返しになってるのも子どもには楽しいでしょう。海外の絵本は日本と違ってあんまり動物をかわいく描かない事が多いですね。この作品でも目付きがちょっと悪いかな。日本みたいに擬人化して親しみやすくするんじゃなくて、むしろリアルな印象を大事にしているように見えます。だからこそ驚きがあるかも知れません。
この王様とお妃様は全然偉ぶったところがなくてほんわかしてて、そのキャラクターがいいんです。二人でいるところが何度も描かれていますが、お庭で花摘みしてたり、ダンスをしてたり、並んで釣りをしてたり、虫取りをしてたり、ブランコで遊んでたり。いつも仲がよくてほのぼのしてるんです。私はなんだか林家ペー・パー子夫妻をイメージしてしまいます(笑)
このお二人、毎回優しく「お友達を連れていらっしゃい」と言ってくださるのですが、実際に来てみると、サルが暴れてる時は「はて困ったな」という表情で固まってるし、ライオンが来たときなんか怖がって二人抱き合ってます。(この辺もなんだかかわいい。)結構嫌な思いもしてるはずなんですけど、それでもいつも「お友達を連れていらっしゃい」と言ってくれるんですね。実は物語の中では、『キリン』とか『カバ』とかいった動物の名前は一度も出てきません。彼らは動物ではなく”僕の友達”だということなのでしょうね。王様もお妃様も”僕のお友達”として遇しています。あくまでも子どもを尊重してくれて自由にさせてくれる優しいおじいちゃんおばあちゃんのようでもあり、お父さんお母さんでもあるのかも。読者の子どもものびのびとこの絵本を楽しめるでしょうね。
それでも相手は王様は王様、お妃様はお妃様です。お城に誘われるとなれば読者の子どももワクワクするでしょう。”僕”は「ともだち つれて よろしいですか」って丁寧な言葉でお伺いをたてています。普段そういう言葉使いもあんまりないでしょうから子どもの興味を引きそうですね。
最後は”僕”の友達が王様とお妃様を動物園でのお茶にご招待します。せまい一つの檻の中に動物たちを含めたみんながぎゅーっと詰まっているのは『てぶくろ』や『あかいかさ』のような楽しさがありますね。”僕”の両隣には王様とお妃様がいて、両サイドから頬を寄せてくれています。王様もお妃様も”僕”の事が大好きだということがよくわかります。とっても嬉しそうな幸せそうな微笑ましいラストなんです。
本作品は1965年にコールデコット賞を受賞しています。今現在は童話館出版から発行されていて初版が2003年ですが、元々は冨山房から発行されていたはずでその初版が1974年とかなり古いです。長く愛されてきた絵本です。
絵 ベニ・モントレソール
訳 わたなべしげお
発行 童話館出版
初版 1974/11/5(冨山房の出版時)
対象年齢 5歳から
文字の量 やや少なめ
ページ数 46
発行部数 不明
オススメ度 B
ともだちつれてよろしいですか のあらすじ・内容
王様とお妃様が日曜のお茶会に僕を招待してくれました。
僕が「友達連れてよろしいですか」と尋ねると「私達の友達の友達は大歓迎じゃ」と快く許してくれました。
そうして連れていったのはキリンです。王様とお妃様はちょっと驚きながらも歓迎してくれて、3人と1匹でお茶を楽しみました。
王様とお妃様が月曜の晩ごはんでシチューを一緒にと僕を誘ってくれました。
僕が「友達連れてよろしいですか」と尋ねると「私達の友達の友達は大歓迎じゃ」と快く許してくれました。
今度はカバを連れていきました。王様とお妃様はカバの様子にちょっと困りながらも歓迎してくれて、晩ごはんをきれいさっぱり全部いただきました。
王様とお妃様が火曜のお昼に僕を誘ってくれました。
僕が「友達連れてよろしいですか」と尋ねると「できるだけ大勢連れていらっしゃい」と快く許してくれました。
今度は何匹ものサルを連れていきました。サル達が天井にぶら下がったり床の上に座ったり大騒ぎでしたが、何にも残さず全部いただきました。
また王様とお妃様から僕にお誘いがありました。
ともだちつれてよろしいですか の解説・感想
この絵本は順場に動物が登場する繰り返しばかりで物語と言えるような物語がなくて、大人から見るとあんまり面白くないかも知れませんが、子どもの感覚で楽しめるようになってるんです。そのあたり、ご紹介していきますね。
動物が順番に全部で6種類登場します
まず、動物がいっぱい出てくるところがいいんです。上のあらすじではキリンとカバとサルを挙げましたが、その後もゾウ、ライオン、オットセイと続きます。色んな種類が出てくるだけでも楽しいのに、それぞれの動物らしいちょっとしたエピソードが描かれています。サルなんかもう暴れまわってシッチャカメッチャカ。ゾウには座ってもらえるところがなくて、逆に王様とお妃様と僕が3人でゾウの背中に座ることにします。そんな様子を見るだけでも楽しいでしょう。”僕”はお城に行くときに蝶ネクタイを結んでるんですが、動物たちもそれぞれちょっとおめかししてるみたい。そこも面白いです。
また、この動物たちの登場には一定のリズムがあるんです。まず王様とお妃様の絵があって、そこで”僕”がお誘いを受けるところとお友達を連れて行くことを承知してもらうところが見開きの左ページに描かれて、右ページには文章が1行のみ。例えば「そこで ぼくは ともだち つれて…」とだけ書かれています。そうしてページをめくると見開き2ページに渡って動物が登場する場面がドーンと描かれます。次は何かな?と引っ張っておいて、ドーンと驚かせるんですね。楽しい演出です。(ここは読み聞かせる時も今度は何かな~ってちょっと引っ張ってからドーンとめくってあげたらお子さんに喜んでもらえるかも。)それが繰り返しになってるのも子どもには楽しいでしょう。海外の絵本は日本と違ってあんまり動物をかわいく描かない事が多いですね。この作品でも目付きがちょっと悪いかな。日本みたいに擬人化して親しみやすくするんじゃなくて、むしろリアルな印象を大事にしているように見えます。だからこそ驚きがあるかも知れません。
”僕”を尊重してくれるかわいらしい王様とお妃様
この王様とお妃様は全然偉ぶったところがなくてほんわかしてて、そのキャラクターがいいんです。二人でいるところが何度も描かれていますが、お庭で花摘みしてたり、ダンスをしてたり、並んで釣りをしてたり、虫取りをしてたり、ブランコで遊んでたり。いつも仲がよくてほのぼのしてるんです。私はなんだか林家ペー・パー子夫妻をイメージしてしまいます(笑)
このお二人、毎回優しく「お友達を連れていらっしゃい」と言ってくださるのですが、実際に来てみると、サルが暴れてる時は「はて困ったな」という表情で固まってるし、ライオンが来たときなんか怖がって二人抱き合ってます。(この辺もなんだかかわいい。)結構嫌な思いもしてるはずなんですけど、それでもいつも「お友達を連れていらっしゃい」と言ってくれるんですね。実は物語の中では、『キリン』とか『カバ』とかいった動物の名前は一度も出てきません。彼らは動物ではなく”僕の友達”だということなのでしょうね。王様もお妃様も”僕のお友達”として遇しています。あくまでも子どもを尊重してくれて自由にさせてくれる優しいおじいちゃんおばあちゃんのようでもあり、お父さんお母さんでもあるのかも。読者の子どもものびのびとこの絵本を楽しめるでしょうね。
それでも相手は王様は王様、お妃様はお妃様です。お城に誘われるとなれば読者の子どももワクワクするでしょう。”僕”は「ともだち つれて よろしいですか」って丁寧な言葉でお伺いをたてています。普段そういう言葉使いもあんまりないでしょうから子どもの興味を引きそうですね。
愛される幸せを感じる
最後は”僕”の友達が王様とお妃様を動物園でのお茶にご招待します。せまい一つの檻の中に動物たちを含めたみんながぎゅーっと詰まっているのは『てぶくろ』や『あかいかさ』のような楽しさがありますね。”僕”の両隣には王様とお妃様がいて、両サイドから頬を寄せてくれています。王様もお妃様も”僕”の事が大好きだということがよくわかります。とっても嬉しそうな幸せそうな微笑ましいラストなんです。
本作品は1965年にコールデコット賞を受賞しています。今現在は童話館出版から発行されていて初版が2003年ですが、元々は冨山房から発行されていたはずでその初版が1974年とかなり古いです。長く愛されてきた絵本です。
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