50歳の時、変形性膝関節症になってしまいました。それだけでなく、股関節まで傷めてしまいました。53歳の今は完治はしていませんが(多分完治はしないのだろうと思っています)、まあ普通の暮らしができるようにはなっています。当初は、まったく初めての経験でしたし、そこまで年齢もいってない中でなってしまったので、正直青天の霹靂でした。
同じように困った事になった方に多少は参考になるかと思って、今までの経緯をご紹介しようと思います。

初期の予兆



今、思うと事前にいくつかの予兆はありました。後ろ首が痛んだり、腰が痛んだり。それらはしばらくして治ったのですが、根本的な原因がのぞかれたわけではなかったのだろうなと思います。

はっきりおかしいなと最初に思ったのは、ある日風呂場でしゃがんだ時です。左足だけ、ふくらはぎの筋肉が大幅に増しているように感じました。そんな急に片足だけ筋肉が増えるなんてあり得ないわけです。恐らくこの前に関節にズレが起きていた事が原因だと思われます。その前後からは膝を曲げ伸ばしすると必ずコキッと音がするようになりました。それまで疲れた時をのぞいて必ず音が鳴るというような事はありませんでした。

そしてしばらくすると、歩く時に左膝が痛むようになります。普通、変形性膝関節症で痛むはずの膝の内側(左膝なので右側)ではありません。痛むのは大抵関節の前部で、痛む場所はその時で違います。ただお皿よりも内部であることは共通していました。でもこの時点ではそんなに強い痛みではないし、しばらくすると痛みがなくなったので、あまり心配はしていませんでした。足が弱っているのかなと思って、少しスクワットを始めました。無理のない範囲でしたし、スクワットが原因での痛みはなかったように思います。

私は椅子に座って仕事をします。立つこと、歩くことはあんまりありません。通勤も車です。なので恒常的に座る時間が長く、足が弱っていたことは大前提としてあると思います。

最初の受診



しかし2ヶ月ほどしても痛みは消えません。これはおかしいなと思って、近くの整形外科に行ってみました。しかしレントゲンも撮ってもらったものの原因がわからず、診断のないままとりあえずヒアルロン酸注射を勧められ、うってもらいました。恐らく初期の関節のズレはレントゲン画像を見てもわからないのではないかと思われます。軟骨が減っているかと言われればそうかも知れないが、そうではないかも知れない。お医者さんはそんな言い方でした。この時、スクワットをしてもいいかと尋ねましたが、お医者さんは多分答えようがなかったのでしょう「痛い内はやめておいたら」という回答でした。

筋トレについて



そこでスクワットはやめて足にオモリをつけて椅子に座った状態で足をまっすぐに伸ばしたり下ろしたりする筋トレを始めました。ネットで調べた情報に基づいています。しかしこれはあんまり意味がなかったです。全然筋肉がつかないんです。1kg程度のオモリをつけたところで大した負荷にはなりません。これだとかなり時間をかけて何度も何度もやらない限り筋肉はつかないでしょう。効率が悪いんですよね。負荷を上げればいいのかも知れませんが、あんまり重くすると痛くてだめなんです。それと、この筋トレは大腿四頭筋を鍛えるものですが、果たして誰しもが大腿四頭筋さえ鍛えれば状態はよくなるのかなという疑問は感じました。実際この筋トレにはまったく意味がないというお医者さんさえいるんですよね。ただ、これをやってみて一つ気づいた事があります。いつの間にか左足を水平に持ち上げて完全に伸ばし切ることができなくなっていました。どんなに力を込めてもまっすぐにはなりません。それと左足の大腿四頭筋の内、内側広筋が右足に比べて非常に小さくなっていることがわかりました。

二軒目の受診と変形性膝関節症の診断



しばらく通院してヒアルロン酸注射をしてもらいましたが、改善はありませんでした。むしろ若干痛む頻度が高くなっている気もしました。そこで別の整形外科を受診することにします。ここでもレントゲンを撮りましたが原因はわからず、膝の内側に痛みがないことから変形性膝関節症とは診断されませんでした。そしてストレッチの指導を受け、痛み止めの湿布をもらいました。しかし次に通院する頃から膝の内側に痛みが出るようになり、変形性膝関節症と診断され、再びヒアルロン酸注射が始まります。そしてさらに次の通院の際には今までなんともなかった右膝の内側にも痛みが出て、それ以後両足に注射をすることになります。この頃に自分がO脚になっていることに気づきます。特に左側の変形の方が大きかったです。以前はO脚ではありませんでしたが、いつこうなったのかはわかりません。

参考にした変形性膝関節症に関する本



この頃から変形性膝関節症に関する本をいくつか読んで、色々とストレッチなどを試しています。その中には今もまだ毎日続けているものもあります。運動も大事ですが、ストレッチも非常に重要だと思いますよ。参考にした本を上げておきますね。これらの本に書いてあるストレッチや運動には、効果があったと感じたこともあれば、まったく意味がなかったと感じたこともあります。多分、変形性膝関節症と言っても人それぞれで一括りに語ることはできないのだろうと思います。





エアロバイクと水中ウォーキング



二軒目ののお医者さんでも、運動をしていいか伺ってみました。膝に負担がかかることはやめた方がいい、歩くのも良くない、エアロバイクがおすすめだということでした。そこで近くのフィットネスでエアロバイクをやり始めます。週イチの定休日をのぞいて毎日です。しかし一つ新たな問題にぶつかりました。漕ぎ始めると右の股関節が痛むのです。そして5~10分我慢して漕いでいると、フッと関節の収まりがよくなったような感覚とともに痛みがキレイになくなります。どうやら知らない内に右股関節もおかしくなっていたようです。膝だけで精一杯なのにそこで股関節まで悪くしたらもうどうしようもないので、まずそこでエアロバイクをやめ、プールでの水中ウォーキングに切り替えます。歩く時は股関節には痛みが感じられなかったからです。これも定休日以外毎日通いました。

水中ウォーキングは目に見えて効果がありました。最初の内はほんのソロリソロリ歩くしかできなかったのですが、一度やる度に少しづつ速く歩けるようになっていくのが実感としてわかりました。(余談ですが、1回30分やりましたけど、これは副作用としてダイエットに効果ありますね。もともと痩せ型の私がさらに3kg落ちました。)3ヶ月ほど続けていく内に水中ではもう普通の人と変わらないスピードでどんどん進むことができるようになっていました。でもそこに落とし穴がありました。効果を感じるに連れてスピードを上げていったのですが、ある日突然歩行中に膝がガクガクするようになり、それ以後2ヶ月ほどスピードを落としてゆっくり歩くようにしましたが、10分も歩くともうガクガクして続けられないようになってしまい改善することはありませんでした。急激にやりすぎたのかも知れません。これで治ると思っていただけにこれは正直かなりショックでした。

三軒目の受診



この間もずっとヒアルロン酸注射は続けています。うった当初は効果があるような気がしますがしばらくするとまた痛むようになったり、しばらくいいな、もう注射はいいかなと思ったら、また元に戻ったりして、よくなっているのかどうかまったくわからないような状態でした。水中ウォーキングで効果を感じた時に同時に日常の痛みも改善されていく感じがありましたが、水中ウォーキングをやめてからは改善も止まったように思いました。そして途中もう一軒評判のいい他の整形外科に行ってみたりもしました。しかしレントゲンでもMRIでも異常は発見できず、膝の内側に痛みがあるから変形性膝関節症であり、ヒアルロン酸注射と湿布。これまでとまったく同じです。やはり初期の段階ではお医者さんでも適切な診断も治療もできないのだろうと思われます。そして症状が進み、レントゲンで明らかな異常が発見されるようになって初めて手術なのでしょう。どうやらヒアルロン酸の注射は治すことにはつながりません。症状の悪化を遅らせたり、痛みを一時的に防ぐだけです。結局のところ、初期の段階であれば、運動によって自力で治すしかないのだと私は考えました。

整体にも行ってみた



実は少し後から、整体にも通うようになりました。整体は効いたのかどうかは判然としませんが、有益な情報を色々と教えてもらいました。股関節の事ですが、「普段こんな椅子に座っているのではないか」と指摘を受け、まったくそのとおりでした。座った時に足の裏が床につかない、あるいはつま先しかつかないタイプの椅子なのです。これは良くないから、足を乗せる台を設置して足が台にべったりつくようにして、膝が90度に曲がるようにしなさいと言われて、その通りにしました。右から後ろを振り返るような動作も右股関節によくないと言われましたが、仕事中にそういうケースが多々あるので、その点も工夫して改善するようにしました。スクワットをすると膝に痛みが出るようになっていました。整体に行った時に試しにやってみて気づきました。

エアロバイクの再開



水中ウォーキングができなくなって、仕方なく、またエアロバイクを始めます。漕ぎはじめの股関節の痛みはやはりありましたがそこはもう我慢しました。エアロバイクをする時に、皆さん悩むのがどの位の負荷をかけても大丈夫なのかということだと思います。無理をしては元も子もないですが、そうかと言って効果がなければ何の意味もありません。その点に関してはお医者さんに尋ねたところでいい回答なんてもらえるはずもありません。そこでまず私は最初10分程度の時間で、ほとんど最低に近い負荷から始めました。これなら絶対膝に過度の負担がかかることはないだろうと自信を持てるレベルです。そしてそれを一週間続け、特に異常がなければもう一段少しだけレベルを上げます。それをまた一週間続けて異常なければまたレベルを上げます。一週間続けても異常がなければそれは問題ないレベルだと認定します。そしてさらにレベルを上げて異常が感じられれば、問題ないと認定したレベルに一旦戻し一週間続けた後にまた試しにレベルを上げてみます。こうして少しづつ慎重にレベルを上げていきました。レベルの上げ方ですが、まずは軽い負荷で30分以上運動を続けられる事を目指し。それができるようになったら今度は時間を30分前後に固定して、負荷の方を少しづつ上げていくやり方がいいと思います。異常があるかどうかの判断方法ですが、強い痛みを感じるようなら即過負荷と判断しました。そう大した痛みでなくても関節内側の痛みなら念の為に過負荷と判断しました。痛みがあってもすぐに消えたり、膝前部の少々の痛みであれば大丈夫だろうと考えました。この辺はもう自己責任での判断です。こうして少しづつレベルを上げて、4ヶ月位するとそこそこの負荷で30分以上漕ぎ続けることができるようになっていました。この時点でだいぶ膝の痛みはよくなっていました。

筋トレと有酸素運動の比較



私個人の考えですが、筋トレよりもエアロバイクやウォーキング(水中含む)などの有酸素運動の方が効果があるような気がします。筋トレは一部の筋肉しか鍛えられません。しかもその筋肉も負荷が上げづらいだけになかなか増えないのです。有酸素運動では総合的にいろんな筋肉を使います。どの筋肉の衰えが原因になっているのかはおそらく人それぞれなんだろうと思います。だから総合的に鍛えられる方がいいと思います。それに有酸素運動では筋肉はつかないとよく言われますが、変形性膝関節症になった人はムキムキの筋肉が必要なのではなく、ごく普通の一般的なレベルの筋肉を取り戻すことが必要なのです。運動に30分以上の時間をかけさえすれば有酸素運動でも十分可能だと私は思います。ただ、年配の方であまり体が動かせない、あるいは痛みがひどくて、局所的な筋トレしかできないケースもあろうかとは思います。そういう場合には有酸素運動による改善よりも筋トレの方がいいのかも知れません。

それと運動とともにタンパク質の摂取はした方がいいと思います。プロテインなんかでなくていいです。ゆで卵とか豆乳とか牛乳とか、そんなものでも十分だと思います。ムキムキになる必要はないのですから。

ウォーキングの開始と股関節痛の悪化



エアロバイクで筋肉が取り戻されるに従って、私は徐々にエアロバイクからウォーキング(水中ではない)へと移行していきます。漕ぐ時の股関節の痛みが気になるからです。毎日30分以上歩きます。膝の状態は引き続きよくなっていきました。しかし、またここに落とし穴がありました。大股で歩くことができるようになって調子に乗っている内に、右股関節の痛みが顕著になってきました。ちょっと何かに当たっただけでズキズキ痛むレベルです。これはまずいと思って整形外科に二軒行きましたが、どちらもレントゲン、MRIで異常は見当たりませんでした。膝の時とまったく同じです。しかし内一軒のお医者さんから教えられたストレッチが劇的に効きました。このお医者さんは股関節自体には異常がないと診断しており、私はそれが違うと思っています。なぜなら前述したようにエアロバイクを漕いでいると途中で急に痛みがなくなるからです。しかし、このお医者さんが今の痛みが筋肉に原因があるというのはその通りでした。股関節に異常がある場合、初期は筋肉に痛みがでるようなのです。大股に歩くのをやめて、指導されたストレッチを毎日やることによって痛みは収まりました。このストレッチは今も毎日行っています。

ウォーキングのシューズについて



歩く時は、靴にも気を使ったほうがいいですよ。着地の衝撃をやわらげるような靴を使ったほうがいいです。ウォーキングに限らず普段でも。今はクッション性の高いいい靴が色々出ています。ヨネックスやアキレスなど。私はニューバランスのCush+という底のスニーカーを使っています。クッション性の高い靴は、歩く時の衝撃がだいぶ違う感じがしますよ。

参考にした変形性股関節症に関する本



股関節痛に関して参考にした本は以下のとおりです。股関節の異常は初期には筋肉に出るというのも本で学びました。







現在の状況



結局二年ほどをかけて痛みで困るような状況ではなくなりました。今はもうお医者さんも整体も通っていません。膝の方は完全に治ってはいませんが、膝の内側に関しては痛みもなく普通の生活が送れています。たまに膝前部に小さい痛みはありますが大したことはありません。なるべく悪化させないように気をつけながら毎日ウォーキングを続けていくつもりです。座った状態から足を持ち上げて膝を真っ直ぐ伸ばすことができなくなっていたのは、今では完全に解消されています。O脚は相変わらずです、もう治らないのかも知れません。股関節も治ったわけではありません。たまに痛みますがストレッチさえしていれば大したことはないです。なるべく悪化させないように気をつけていくしかないと思っています。

座り過ぎを防ぐ



あと、日常のデスクワークはなるべく立ってやるように改善しました。今も立ったままパソコンに向かってこれを打ち込んでいます。今でも座る時間が長いと若干ですが痛みを感じることが多くなるような気がします。どうしても座らなければいけない時はタイマーをかけて30分以上継続して座らないようにしています。調べてみると、長時間座っている状態は膝にも股関節にもよくないようですね。因みにスマートウォッチには大抵座り過ぎ防止の機能が含まれていてこれは使えますよ。予め設定した時間座り続けるとバイブレーションで知らせてくれます。

少し筋トレも開始



最近はスクワットもできるようになりました。ですが、膝の関節には良くないように思えて、今は相撲の四股のように膝を曲げてそのまましばらく静止する形での筋トレを無理がない程度に行っています。少々痛みがあればやめたり、あんまり気を張らずに続けています。この姿勢は股関節にいいのではないかと思って始めたものです。この本に載っていました。



今も続けているストレッチ



今私が毎日行っているストレッチをご紹介しますね。色んな本や、お医者さんの指導に基づいてやってみてこれは効果がありそうだと思ったものだけを継続しています。

膝に関するストレッチ




  • 横向きに寝転んで、下の足は膝を曲げて前に、上の足の足首を手で掴んでお尻に近づけるように引っ張ります。太ももの前の筋肉が伸びます。両足、30秒を2セットづつ。これは膝だけでなく股関節にも効果があります。

  • ベッドに腰掛けて、足を前方に投げ出します。片方の足の膝に両手をつき、上半身の体重を乗せて膝を伸ばします。両足、30秒を2セットづつ。



股関節に関するストレッチ




  • 仰向けに寝転んで、どちらか一方の足の裏にタオルをかけ、足をまっすぐにしたまま真上に向けます。もう片方の足はまっすぐ寝かせたままです。タオルの両端は両手で引っ張り加減にします。太ももの裏辺りが伸びます。両足、30秒を2セットづつ。

  • (右足をストレッチする場合)仰向けに寝て、左足は膝を立てておきます。右足を曲げて膝を横(右方向)に寝かせ、右足首を左膝の少し上辺りに乗せます。その状態で左太ももに両手をかけてお腹側に引き寄せます。右のお尻から股関節付近の筋肉が伸びます。両足、30秒を2セットづつ。

  • 床に座って足を曲げ、両膝を左右に向けて、両足の足の裏を向かい合わせてぴったりくっつけます。お尻よりも後ろに手をついて上半身はやや後ろに傾けておきます。両膝の角度は鋭角に。その状態で両足の膝をなるべく床に近づけるようにします。30秒を2セット。



私の反省



この一連の経験で身にしみて感じたのは、普段の運動が大事ということと、座り過ぎはよくないということです。私の苦い経験によって、皆さんが同じ轍を踏まないようになれば幸いです。

それと最後に一言。私は結局それなりに回復するまで2年以上を費やしました。お医者さんに見てもらえばサッと治してくれるというものではないので、まったく未知の世界を本当に手探りで進んできました。ネットや書籍の情報、医師や友人などの助言など情報は求めれば色々入手できますが、正直言って玉石混交です。もし悪くない情報であったとしても、それが自分に合うのかどうかもわかりません。今持っている経験と知識があれば、もっと早く回復できていただろうと思いますが、それは今更望むべくもありません。2年半の間には、本当に精一杯努力しているのになかなか治らないイライラや慎重にやっているのに悪化してしまった時の絶望感など、精神的に追い詰められたりしたこともありました。それでも何とかここまで来たので、同じ苦しみを持っている方にはあきらめずに頑張っていただきたいと思います。初期の段階であれば、努力はいつか実ると思いますよ。

※誠意を持って書いた記事ですが、私は医療に関しては素人ですから、以上のお話は参考程度にお考えください。もし何かあっても責任は持てませんので。