著者 毛利甚八・魚戸おさむ
発行 小学館
初版 1988/12(第1巻)
対象 幼児~高校生

家裁の人 の解説・感想

この人のツイッターがためになることが多くてよく見ています。
(おすすめですよ。)
今回のツイートは本作「家裁の人」について。


noteにはもう少し詳しく書かれています。


私も元々このマンガが好きで読んではいたんですけど、
子育てに関する本という視点では全然見ていませんでした。

このマンガのざっくりした概要は以下の通りです。

主人公は家裁判事の桑田義雄。彼は法曹一家に生まれ、彼自身も非常に優秀。しかし転勤を拒み、故に出世コースからは外れている。植物を愛し、陰では変わり者とも言われている。
彼の仕事は独特で、罰を与えたり決着をつけたりするよりも、問題の原因を探り関わる人たちの今後を大切にしようとする。植物を大切にするように。

参考まで第1巻は全部で10話。家裁ですから離婚や遺産、非行など家族関係の案件ばかりで、その半数が少年少女が中心となるものです。

今回改めて読み返してみて思いました。

子育てに限らず何か問題が起きた時、その目の前の問題をどう解決しようかというところに注力しがちです。いやもっと刺激的な言い方をすると、早く完結してToDoリストから外すことを無意識に目標とする気持ちさえどこかにあるかも知れません。その問題が自分にとって面倒なものであるほど。しかしその表面化した問題が問題なのではなく、実はもっと違う真の問題が隠れているかも知れない。それを知るには問題の背景を知る必要があるわけです。しかし、普段自分の子どもと接する時にいつもそこまで考えているでしょうか。

主人公の桑田はあえてそこを探ろうとするのです。

全部が全部そんな風にやっていたら親もパンクしてしまうでしょう。でも本当に大事な時だけでもいい。それを感じ取って深く向き合えたら。

さきのツイッターの篠原信さんの著作を読んだことがあります。子育て本なのでいずれご紹介するつもりです。(→ 『子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法』。)その本の中に、主宰する塾で出会った子どもとのエピソードがあります。それを読むと、このマンガが参考になったんだなということが腑に落ちます。まさにその子どもの問題の背景まで踏み込んで考えているんです。このマンガと同じような展開のエピソードに正直驚きました。

このマンガには具体的な子育てのアドバイスは一切ありませんが、何気なくToDoリストから外すことを目標とすることを戒め、視点の持ち方や考え方に刺激を与えてくれるものだと思います。

因みに紙の本は中古でしか入手できません。中古だとほとんどの商品が全巻大人買いしかないんですよね。1巻づつ購入するならamazonの電子書籍も出ているので、一番上の表紙はそれにリンクしています。